雪月花伝
ある国の山奥に存在するとある村に、一人の少女がいました。
少女の名はレイナ、そう呼ばれておりました。
ですがある日、彼女には秘密があります。
それは魔女だったこと......。
このことを知っているのは両親と村の人達だけでした。
しかしその村での生活も終わりを告げてしまいます。
それは雪が降る冬の夜のことです──
「こんな森の奥まで来てどうしたんだい?迷子かな?」
「違います!わたしは旅人です」
「......へぇー、ならなぜここに来たんだい?」
「......」
彼女の目線には一人の女性がいました。
その女性は長い髪を持ち赤い服を着た美しい女性でした。
彼女はこの場所に一人でいる私に興味を持ったのでしょう。
彼女は私に向かってこう言います。
「......私は魔法使いなんですよ、それもかなり強い部類に入るね。だから私が君を家まで送ってあげるよ」
「いえ結構ですよ......」
私は断りました。しかしそれを無視するかのように女性は私の手を引きます。
「いいから黙ってついてきな!」
「......っ!?ちょ、ちょっと!!」
こうして私は半ば強制的に家へと連れて行かれてしまうのであった。
翌日、目を覚ますとそこは知らないベッドの上だったのです。
どうやら彼女が私を運んでくれたらしいです。
でも私は何故ここに運ばれたのか分かりませんでした。
私は彼女に尋ねようとした時、ドアからノック音がし誰かが入ってきます。
入ってきたのは昨日出会ったあの綺麗なお姉さんでした。
「......あれ?もう起きたんですか?朝ご飯できてますよ」
「......はい」
そしてそのままお姉さんは私の手を引っ張ってリビングへ向かいます。
テーブルの前に着くとそこにはスープやパンと言った料理が置かれておりお姉さんはそれを机の上に並べていきます。最後に机の横に座り一言言いました。
「では頂きましょう」
「......」
私はこの人が誰だか分からなかったのです。ですがとりあえず目の前にある食事に手をつけることにしました。
「いただきます」
「......ん、おいしいですねこれ」
とても温かくて美味しい、そう思いながらご飯を食べ終えることができました。するとお姉さんが微笑みながら言います。
「お口にあったようで何よりだよ」
「えっと......あなたは誰ですか?」
するとお姉さんは一度驚いたような顔をしてまた笑います。
そんなに驚くようなことなのでしょうか......?
「......もしかしてまだ知らなかったんだね。てっきり知ってるものかとばかり思ってたけどこれは驚きだ」
「何をですか......?」
「ああすまない自己紹介がまだだったね。じゃあ改めて名乗ろうか。私はここの家の主であるメアリー・オブ・ブラウンさ」
メアリーというらしいこの人は軽く自分の紹介をしました。
それにしてもここの家主は貴族なのですか......。
それなら敬語を使おうと思ったのですが......何故か口が開きません。
まるで誰かに操られているような感覚です。
そうしていると突然頭の中に声が響き渡ります。
《(......おい!聞こえているのか!?》
それは男性の声でしたがその声は確かに聞き覚えがありました。
しかもそれはつい最近聞いたような声......。
『......』
だがやはり私は喋ることができません。
一体何なんですかこの現象は......!そう思っていると再び声が聞こえてきました。
『(お前は俺を受け入れろ、そうすれば俺は力を貸してやる)』
受け入れるって一体どういう事でしょうか?
というか本当に何なんでしょうこの人......。
そんなことを思っていると今度は私の身体が光りだし始めます。
『(いいから受け入れろ!! )』
「(ちょっ!ちょっと待ちな......い......っ)」
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