第9話 さあ、仲間を集めよう!
村長と夜通し協力してもらえそうな村、集落について話し合った。
そして、検討して候補に出た村、集落は全部で三つ。
「一つはここよりも少し北にある
そして」
「三つ目は
三つ目の集落は数日前から連絡がつかないという。だからか、少し心配だそうで。
「もう朝か。十数個ある集落の中で三つに絞れたはいいモノの、問題はこの集落たちが協力してくれるかどうかだ。この集落に来るのも時間の問題だろう」
「私が思うに、後一週間程で攻めてくると思われます」
「そっか。それまでに集落回って、柵を準備して、人材を強化して。やることは沢山あるな。
………村長、今から集落に行く準備をしてくれ。時間を無駄にしたくないからな」
村長の返答を全て聞くまでは待たず、途中でもう、準備を始めにいった。
やらないと行けない事多いな。
村長待つまで戦闘員のところに行っとくか。
俺が見に行ってみると、昨日教えたことが少しずつ形になってきていた。
具体的にいえば、俺が教えたのは刃物の使い方だ。
弓は流石に使ったことないし、使えない。弱いと分かっていても俺にはどうしようもないってことだ。
しかし、刃物………とりわけ剣なら辰爾から仕込まれたからな。ある程度は、というわけだ。
なかなか筋は良い。けど、やっぱり付け焼き刃では
「シャルロット様、準備が整いました」
「そのシャルロット様ってなんかむず痒いんだよな。シャルルでいいのに」
「い、いえ!そういうわけには行きません!
天地開闢その時より、魔物の世界における絶対普遍のルール。それは弱肉強食、そして強者への絶対服従なのです。
ですから、貴方様のような
うお!村長ちょっと食い気味なんだけども!?
うーん。魔物の世界って難しいんだな。
俺はそういうの苦手だけど、幾万年続いたそれを断ち切るのはな………。
………って、俺この世界の法則ほぼ知らないんだけど。ちょっと不便だな。
《確認しました。ユニークスキル『
諸事万端:世界の表面に存在する秘匿されていない限りの事象を把握する能力。
だそうだ。
これで少しはこの世界の法則とか常識とかを理解出来るのか。
まあ、常識とかを知らないのは十年間も誰とも会わなかったことが悪いんだけどね。
「じゃあ村長、その
十人いないくらいの
***
「ここでございます。ここが
「ここが、か?」
見てまず目に入ったのは家の杜撰さだ。
これは手抜きというよりかはここも技術がないんだろう。
他の村とも頻繁に交換をしている訳ではなさそうだし。
通りかかったひとりの住人の服は、
こっちはもう、数か所破れている。
「村長、魔物の村って全部こんなに貧しいのか?
「魔物は、あまり技術を持たないのです。
どれだけ智慧があろうと、我らのような低級な魔物では、これが限界なのです。
生きることに精一杯で、誰も技術を学びになど………」
生きることで精一杯か。
前世じゃまるでそんなことなかったからな。
特に日本とかは進んでるし、生きるのに精一杯なんてこと絶対に無かったし。
「では参りましょう」
村長は、ゴブリン村の長のところへ連れて行ってくれた。
木と藁と草で出来ていた家で、今にも崩れ落ちそうである。
これでもこの集落の中で一番一番良い家なのだと。やっぱり技術………ここが問題か。
「こ、この方は………?」
ゴブリン村の長──以後ゴブ
ご尤もだな。
「この方は、私たちが
「何と!
そ、それは真ですか?」
「ああ。これも何かの縁だ。このまま見捨てるのは後味が悪いからな」
後、どう考えても今回の事件、俺らが悪い気がするし。
「そ、その協力関係、我々も加えてもらう事は出来ないでしょうか?」
え?
「いや、こっちからも協力をお願いしようと思っていたんだが………本当にいいのか?そっちの集落の人々も巻き込むことになるんだぞ?」
「それは重々承知の上で、お願いしております。その二種族は、個々の集落では返り討ちに遭ってしまおます。ですから、どうか、我らとも協力して貰えないでしょうか?」
それからの話し合いはトントン拍子に進んでいくものだった。
ゴブリン村の戦闘員、その
このゴブリン村と別れ、俺たちは次なるゴブリン村へと向う。
そこでも、流れはそう変わらなかった。
やはり、
弱肉強食、か。俺にはまだイマイチ理解できない法則だ。
「一度、戻られますかな?」
一通りの協力関係が締結したところで、ホッとしたのか村長が少しの笑顔を含んだ顔でいる。
「そうさせてもらうよ。今日はもう、疲れた」
日が暮れ始め、腹時計も夜を告げている。
お腹すいたなー。肉食べたいなー。魚も食べたいなー。ラーメン食べた………ラーメン!?
いやいやいやいや、異世界でラーメって無理でしょ。
………作れるのかな?ラーメン。
夕食は、昨日より少し豪華になっていた。
協力関係締結祝いだそう。ただ焼く、だけの調理であるため、塩やソースをかけて頂く。
森の恵みをふんだんに使っていふソースだけあって、前世の高級焼肉店オリジナルソースと負けず劣らず………いや、勝ってるかもしれないほど。
この
その技術と他の技術交換したらwinwinな関係になれると思うのにな。
「これで一安心ですな。
今日は、というか今日も宴会でございますので、どうぞ、気のゆくまでお楽しみください」
今また
ただ協力関係が締結されたからと言って絶対に勝てる保証はないんだから。
それほどまでに逼迫していたということだ。
「後は兵士の強化だな。今のままじゃ、三つの集落とも兵が弱すぎる」
ついでに、二つの集落の戦闘員の実力も見てきたのだ。
合わせて150人と言ったところ。出来れば後100人は欲しかったところだけど、籠城:攻城=1:3(今のところ150:250=3:5だ)って言うからな。
まあ、大丈夫だろう。
「
「しっかりと飲み込んでからお話下さい」
なんか今の村長、親っぽかったぞ。
確かに自分でも何言ったかよく分かんなかった。
( ↑ コイツ阿呆です。びっくりするくらい)
「確かに残り少ない時間は兵力の強化に回したほうが良いでしょう」
お、村長俺でもわからなかった言葉を聞き取ってる。案外凄いんじゃね?
「それとだな、村長。兵以外の村人にも手伝ってほしい事があるんだ。いいか?」
「勿論です。勿論ですとも!」
それから俺は、村長に俺が考えている計画について話した。
それは、こうだ。
まず、あと数日したら、三集落の住民を一箇所に集める。一気に管理できるようにするためだ。
そのために、
次に、柵などの防御設備も整える。
どれだけ攻撃力を上げたって、防御が手薄だったらそこを突かれるからな。今回の場合は村人だ。
そして、だ。
「最後の協力者。その
そのために、村人たちには安全なルートを導いてもらいたい。今まで
「少しでも安全に、というわけですな。
承りました」
こうして俺たちは、少しの宴と、二徹の作戦会議を催し、翌日朝の俺は、死にかけていたのであった。
よく寝る子が夜ふかしを二回連続でしたからである。
「昨夜の討論の結果、最も安全なルートは、昨日行かれました西のゴブリン村を迂回して通るのが最良と判断いたしました」
「ありがとう。だけどちょっと、少しだけ寝かせてくれ」
バタンと倒れるように寝る。
三時間弱寝た後に、ある程度の準備だけしてから俺たちは最後の協力者たちが居る、
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