古の冒険王

「魔道装甲?」

確か軍が持ってる兵器の名前だったような気がする。

それを使った決闘?何が起きているんだ?

「た、太陽君いるぅ〜。」

部屋の外から秋月さんの声がする。

「ああ、いるけど・・」

「あう、その・・・太陽君の・・ぅらすの子が・・」

どうやら僕のクラスでの問題ごとらしい。

「わかった。一緒に行こう。」

「へ。ぃやいや、わたぃな・・んて・・」

とりあえず、背中を押して、問題の場所へと向かう。

秋月さんは、背中を押されて戸惑っているようだ。


ただ、秋月さんの方が学園の情報を知っていそうだし、僕が頼れる相手は数少ない。一緒に来てもらった方がいいだろう。


演習広場A

決闘騒ぎが起きているのは、実技とかで使われている、演習広場だった。

「あれは?」

昼頃に騒いでいたエルフたちのグループだ。

また、ハーフエルフと揉めているのだろうか。


いや逆だった。ハーフエルフが、虐めていたエルフたちを脅していた。

「あれ、魔道装甲だ。」

秋月さんが、しっかりと呟いた。

「魔道装甲って?あの軍が持ってる兵器の一つだよな?でもなんでそんなものが?」

「それは、・・・・戦争のためよ。」

秋月さんが、語る。

「帝国との関係悪化に備えて、私たちの国は魔法による抑止力が必要なの。あれは、平和の象徴と謳われている、魔術師たちの希望。」

「平和の象徴?」

帝国?そういや、帝国関連の事件もあったよな。

「ラブ!」

「情報を記録しとくわ。任せて。」

どこからかラブの声がした。

「ラブ??なんのこと?」

「気にするな。ところでそんな平和の象徴が決闘するとかどういうことだ。」

「貴族の決闘のルールなの。」


なるほど、喧嘩みたいなものか。

それなら、大丈夫かもー

「危ない。」

「きゃっ」

秋月さんを引き寄せる。

「た太陽?だぃ・・たん。」

「なんか様子がおかしいぞあいつ!」

一瞬の光。

それで僕達がいた天井が崩れる。

「暴走しています。あの魔道装甲。」

ラブが即座にいう。

「避難しよう。」

「そうだね。先生を呼んでくる。」

秋月さんと逃げようと思った矢先、悲鳴が聞こえた気がした。

あの虐めていたグループか?

仕方ない。

「ラブあいつらを救出する。安全なルートを。」

「優しいのねあなた。どうゆう理屈。このルトなら安全かも。」

ラブが先導して前に進む。それについていく。

「別にこれでも検死官だからさ、死体になった彼女たちに会いたくないだけさ。」

それに、もし俺が死んだとしても、もしかしたら、ラプラスがいる時間に戻るだけだろうしな。


エルフのグループの元へ着く。

「早く逃げろ。どうして固まっているんだ。」

「あ、あんた。特待生の・・・。」

リーダーと思われるエルフが呟く。

「ちょっとからかおうとして、それで、」

「危ない。」

エルフグループを突き飛ばす。

「「いや。何?」」

魔道装甲に殴られる。

「なるほど暴走状態か。」

あの症状を見たことがある。

確か、飛行機のパイロットの検死で、パイロットの死を体験した時と同じだ。

ドゴっと音がして、自分の体に衝撃が広がる。

落ちていく。

エルフグループは無事だろうか。

咄嗟の判断で、4人まとめて投げ飛ばしたような気がする。

瓦礫と共に落ちる。

その時、インキュベーターの起動音がした。


インキュベーター:アノニマスコード検出。

検出データ冒険王


そんな起動音と共に、僕は何度目かの死を経験した。

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