超越種 その1

 ここは王都奴隷オークション本会場。


 王都中から選りすぐりの奴隷たちが一堂に会する、一大イベントの一つである。


 そんな王都奴隷オークションは例年、一番の盛り上りを見せるラストイベントを残すのみとなり、超越種と呼ばれる崇高な一族である、ハイエルフの少女がステージに上がった途端、会場のボルテージは一気に最高潮まで達した。



『では皆様! 聖金貨1枚からスタートです!』



 司会進行役の一声により、超越種の少女をめぐるオークションが幕を開ける。



「皆、凄い張り切りようですね」


 客たちの熱に当てられたエバンは引き気味で呟く。


「そりゃ、超越種の凄さを知る者からすれば仕方のない事さ」


 そんなエバンの呟きを耳にしたアルスが、当たり前だろと言わんばかりに答える。



『67番様が聖金貨1枚と大金貨1枚です! 37番様が……』


 アルス達が会話する間にも、金額はあっという間に吊り上がっていき、簡単に聖金貨3枚を超える。


 ここまでは予想通り。



 そんな中、一向に札を上げないアルスに違和感を感じたエバンが。


「アルス様は購入を考えていないのですか?」


 首を傾げながら質問する。


「もちろん、購入するつもりだよ。ハイエルフという種族を仲間に出来る機会だしね」


「では何故、ボードをお上げにならないのですか?」


「あぁ、それは……」


『31番様が聖金貨3枚と大金貨3枚です! 他は……、6番様が聖金貨5枚と一気に吊り上げました』


 ここで6番の客が一気に金額を上げる。



 やはり来たか。


 アルスはエバンの質問に答えないまま、6番がいるであろうVIP席へと視線を向ける。



 するとエバンも察したのか、一歩後ろに下がり、主君の邪魔にならないようわき役に徹する。



 そう。俺は6番が食いつくかどうかを確認していたんだ。



 アルスはさっきから6番に落札を邪魔された事を思い出し。



 まさかあの6番もあの少女の強さに気づいていたり……、いや、そんなことは無いか。


 もしやという考えが脳裏をよぎる。


 だが、今はそんなことはどうでもいいと、そんな考えを頭の片隅へと追いやり、先ほどの少女の衝撃的なステータスを思い返していた。




~今から少し前~



「っっ! あの少女だけは必ず手に入れないと」


 アルスは超越種と呼ばれる、ハイエルフの少女のステータスを鑑定し、驚愕した様子で呟く。





 名前 :ニーナ・ハロウェル

 

 武力 :41/91

 統率 :11/71

 剣術 :01/62

 槍術 :02/71

 騎術 :18/81

 弓術 :41/91

 盾術 :01/32

 体術 :03/79

 隠術 :04/85

 

 智力 :25/80

 政治 :16/81

 魅力 :35/92

 忠誠 :40

 野望 :36


 突破 :0/3

 成長 :S

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