第14話 強さの意味が、変わってきてしまいそうだ。



     〇



 襲撃しゅうげき相次あいつぐようになってきた。

 正直、彼女がいなければ、俺はどこかで命を落としていたかもしれない。

 どうにも最近、森の中がさわがしくある。

 冒険者もそうだが、見たこともない魔物もここへ来るようになってきた。

 おかげで鍛錬には困ることがない。

 ようやく、狩りではない戦いの経験を多く得る機会が増えたのだ。

 今はこれ幸いと戦いに明け暮れている。

 これも彼女が身の回りの世話や、準備や整備を共に手伝ってくれるようになった為だと確信できる。

 なぜ、彼女は俺にここまで尽くしてくれるのだろうか。

 そして、どうして俺は、ここまで彼女を信頼しきっているのだろうか。

 まるで初めからそうであるかのように。

 答えはわからない。

 見つからなくてもいいのかもしれない。

 、と。

 当てもない霧散むさんしそうな、しかし、確固かっこたるその思いが、胸に渦巻うずまいている。

 できれば彼女もそうであってほしいものだと、勝手に願っている。

 これで己がにぶくなっているのであれば、切り捨てられるものを。


 どうにもこうにも、ならない領域まで行ってしまっている。


 季節は二度過ぎた。

 もう彼女なしの生活は、考えられなくなってきている。

 強さの意味が、変わってきてしまいそうだ。

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