Y2Kbug

霧這

アリス症に沈んで仕舞えば良かったんだ

 産まれたのが過罰かばつなら良いとさえ思う。もっと最初から気付けば……ゝや、気付いていた。学童に上がる前くらい、薄々ながら勘づいて居た。

 バグならば修正可能だと信じて居たかったから今処ここまで来てしまったんだ。けど、見ろよ。母親にも「終わってる」と言われる姿を。

 頭垢だか埃だか積乗つのる体臭が充満する場所。10ヶ月放置した髪を掻きながら宵闇がみ、夜寝よい病む。

 数日前に夢の中で、母親と父親が口論になっていた。否ゝ加減な内容に如何どう言ったかは覚えてないが、21年と半分2ヶ月の思いを誰かさんに似せて酒に酔った振りして、誰かさんに似せて感情的な口調で言えて清々した。

 焼酎の残り香に、酔いそうになるのは誰に似た者か。

 あの頃、大きく見えた機械仕掛けの時計。駅ビルの、怖くて登れず泣いていたエスカレーター付近。夢から覚めた様に魔法が解け、本来の大きさを知った時、家族の象徴も消えてしまった。そんな要らない思い出が覚める夢だったらまだ良かったな。

 相変わらず、階段は登るのが怖いまま。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Y2Kbug 霧這 @Sachi8hyA9sya7

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ