暗殺者を目指しているのに魔法少女になりました!

@TotueiheiXX

第1話暗殺者志望だけどとりあえず護衛です。

古来よりどんな時代でも人知れず敵を殺す者

それが暗殺者である。

そんな暗殺者を目指す少女がいた。

小学生の少女でありながら厳しい訓練を行う彼女は日の当たる世界に興味はない。

「アイ!早く学校行く準備しなさ~い!」

それでも義務教育と護衛のために影の世界とは縁遠いお嬢様学校にいかなければならない。

「今、いきまーす。」

二階からリビングに降りて学校にいこうとすると母に止められた。

「あんた、武器もって学校に行くつもりなの?自分が行く学校が格式ある学校て理解してる!?」

また、この話だ。両親はあまり私を暗殺者にしたくないようで昔両親が仕えていた私と同い年のマイちゃんの護衛を兼ねて通わせている。

「マイちゃんの護衛のために武器が必要なので…いるかな?」

「素手でそこら辺の変態なら病院送りにできるから要らないでしょ!!」

ひどい母親だよね?まるで危険な凶器扱いしてきて…。

結局すべての武器と道具,更には重りまで取り上げられた。朝からついてない。

迎えのバスを待つ間に仲の良い友達である

ミラちゃんが来た。

「おはよう!アイちゃんどうしたの?元気なさそうだけど?」

「ミラちゃん…また没収されたよ。」

ミラちゃんはこの学園に入ったときからの友人で私が暗殺者を目指しているのは知っているが必ずしも肯定してくれるわけではなく

「おばさまが正しいと思うよ?」

正論を言われてしまう。

ミラちゃんははっきりといえば暗殺者なんて物騒なものよりもっとパティシエとかお医者さんがいいよと進めてくる。

実は私も暗殺者になりたい理由が言葉に現せないだけどなぜかならなきゃいけない。そんな風に思ってしまう…なんでだろ?

「バス来たよ?行きましょうアイちゃん!」

ミラちゃんに言われるままに思考のループを停止してバスに乗り込んだ。



学校に着くとマイちゃんがバス停で待っていた。

マイちゃんの家はリムジンで送り迎えできるほどのお金持ちさんだけど目立ちすぎることから通学にはスクールバスを使っている。

「アイさん,ミラさん,ごきげんよう。」

「「ご、ごきげんようぅ。」」

マイちゃんはいかにもなお嬢様すぎるためこの2年の付き合いだけどいまだに慣れない。

「おふたりとも昨日のドラマはみました?まさかのトラブルでお互いの気持ちにすれ違いになってしまって…はやく続きが見たいですわ!」

特にこの庶民的価値観とのギャップというか落差というか…まぁそんなところもかわいいんけど。

「はやく、教室に入ろ?続きは教室でね?」

ミラちゃんに言われるがままに校舎へと向かう。三階にある三年生の教室内ではお嬢様同士のお嬢様会話が展開されている。

「私の家にまたワンちゃんがくるの血統書付きのドーベルマンこれでも43匹目ですの!」

「そうなんだ!私の家なんて犬は駄目なのにお父様は五百万円する錦鯉を購入しているのよ。もっとかわいいものを飼ってほしいのに…」

彼女達からすれば普通の良いことや不満程度だろうけど一般家庭の一般的な生活をしている私からすれば明らかにスケールが大きい話である…いつもやってる訳じゃないけど。

学校のチャイムがなり始め席につく。

「皆さん、おはようございます。」

学校には女生徒しかいないため女性教員が多いが私達のクラスには四人しかいない男性教員が担当している。

校長曰く「貴方がいれば不始末を文字通り始末できますからね。その時は頼みますよ。ウフフフ。」

学校の教員としてはアウトな発言をされたが

たぶん冗談だと信じたい…良くない噂は数あるけど。

「では授業を始めます。算数の教科書25ページを開いて…」

今日もまた退屈な1日が始まる。

窓の外には鳥が飛んでいる。あんな風に自由に飛べたら暗殺者としては引く手あまたになれるかな?

鳥に混じってふわふわとぬいぐるみみたいなのが飛んでいる…いやおそらく風船だよね。見間違い見間違い…もう一度見よう。

ぬいぐるみのようにもふもふとした存在がカラスに襲われながら逃げている。

幻想にしてはリアリティーがありすぎるけどやっぱりなかったことにしよう。一瞬目があった気がするけど知らない。本当に知らない!近付いてきた存在を見ないふりするのは正直しんどかったです。


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