遠野紀行
八朔日隆
新花巻→遠野駅
以前、柳田國男の著書「遠野物語」の二次創作的な小説を書きましたが、この度、実際にかの地へ訪れる機会がありました。その記念と言いますか、これを何かの節目としまして駄文を残したく思います。
新幹線で新花巻駅に着くと、そこから遠野駅まで1時間ほどJR釜石線に揺られる。その途中では宮守、鱒沢、綾織といった遠野物語に登場する地名の駅があり、駅名の看板にはデフォルメされたカッパが描かれていた。山に囲まれ、開けた大地には豊かな自然があり、清水を湛える河川、葉を茂らせる樹木、一面に青々と広がる田んぼがあり、それらと青空をとを分つのは連なる山々の稜線のみで、雲が少なく絶好の旅行日和。まさに日本の原風景といった様子で、日に照らされ光が差し込む車内に、コロナ対策で開いた窓から涼しげな風と蝉の声が入り込む。猛暑の影響か、8月の末ということもあるのか、やや蝉の声は少なすぎる気もした。
しばらく電車に揺られていると、綾織駅に着いた。でこぼこした山々の中でも少しだけ頭を出している小高い山があった。遠野三山に数えられる石上山であり、遠野物語第二話に登場する場所である。いざ目にすると、他にも大小様々な山がある中で取り沙汰するほど抜きん出た大きさでは無く感じた、と言うのが正直なところだ。女神が住まうとするかの山だが、自分が女神ならうっかり隣の山に間違えて住んでしまうかも知れない。標高は1000メートルほど。
遠野駅に着くと真っ先に出迎えてくれるのは赤いカッパの像だ。一般的な伝承と違い、遠野のカッパは赤いのが特徴だ。隣の観光案内所で自転車をレンタルし、駅を発つ。
遠野紀行 八朔日隆 @Utahraptor
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