第2話

あの日咲いた花が枯れたことを知らない


彼女の身代わりになって差し出したこの手首には

もうあの日の跡は残っていない

消えないのに

内側には消化不良の寂しさが種を撒いてる


わたしたちが見えているものは1秒の残り香でしかなかった


君が砕いた氷の飛ぶ様子は

君の叫び声のようで

溶けてしまえばいなくなるようで

飲み干したんだ


藍色になった空は

灯りを避けるように飛ぶ鳥を映す



花を買った人の花になりたい

水を与えてくれるあなたに会いたい

枯れて土に帰ったらまたあなたの花になる

記憶の実をつけて禁断を放してください

あなたを見ない間わたしは雲の中で光になる

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