第35話 ドワーフ国で、その1
アイオイ国王夫妻とローラン王女は1週間滞在したが、案内はミンクに任せてバーバラと連れて来た鉱山の専門家と鉱山に行き専門家の男性が鉱山を詳しく調べた後に。
「間違いありません、バーバラ様が言う通りこの山は宝の山で宝石と金の鉱山で銅も取れます。普通は一つの鉱山で一種類しか取れないのに3種類がそれも宝石と金が取れるとは、トム様は非常に運の言い方ですね」
バーバラも。
「本当よね、羨ましくてあやかりたいわ」
「俺も余りに運が良すぎて怖いくらいです」
鉱山が本物だと分かったトムは、王都からの移住者を運ぶ為の船を作る事にしてナナリーナとロックの意見を聞くことにしたのだ。
次の日から早速3人で意見を出し合い、ナナリーナが図面を描き蒸気機関と帆を取り付けて海の魔獣に襲われても大丈夫なように少し厚めに鉄板で船の外側を覆い、前世なら何年もかかるのをトムとナナリーナが創造の魔法を使い20日で二隻の大型船を完成さたのです。
ロックが以前から風魔法を使える住人を雇い船の操縦を教えていた10人の他に乗組員を募集した所、100人以上が応募したが選別して20人を雇い、初めてフォーク国からライガー王国のロラタ王都まで、前世の東京から大阪くらいまでの航海に出たのです。
船には何か起きた時の為に移転室を作りナナリーナが前世の携帯電話に似た念話で話せる通信機を取り付けて連絡出来るようにしたのだ。
トムも船に乗りたかったがドワーフ国に行く用意をしたギバラが痺れを切らして待っているので同行を諦めてドワーフ国に行く事にしたのです。
同行するのはいつもと違いナナリーナは王都からの移住者の住宅作りと塩田作りが忙しいので同行せず、バードは船の護衛の為に船に同行して今回は外交担当のミンクとジエルに護衛のライザーだ。
ライザーの提案で6人が乗れる箱にトムたちが乗り、その箱をライザーの背中に括り付けて空を飛んでドワーフ国に行く事になったのだ。
フォーク国からライザーが大空に舞い上がると、普段は豪快なギバラが青い顔をして震えているギバラにミンクが。
「ギバラもしかして怖いの?」
「俺は、高所恐怖症なのだ、誰にも苦手はあるだろう」
ライザーの飛ぶ速さは速く、ギバラは横になって地上を見ないようにしてジエルとミンクは空から深淵の森を見るのは初めてなので大はしゃぎしていた。
徒歩でフォーク国からドワーフ国に行くなら、山、谷、崖を走破し、魔獣と戦いながら進むので1カ月以上かかるか命を落とすであろう。
それなのに流石にライザーはドラゴンなのでたった半日でドワーフ国に近づきライザーがスピードを緩めて下りるところを探しているとミンクが。
「此のままドワーフ国の上空を1周して街はずれに降りて頂戴」
ライザーが。
「それは不味いだろう、我の姿を見たら住民が恐怖でパニックになるだろうに」
ミンクが。
「それで良いのよ、脅かすだけで被害は与えないのだから、交渉事は力を見せておかないと嘗められて上手くいかないわ」
「確かにドワーフ族は自我が強く我儘だからな、分かった、では、少し脅かしてやるとするか」
トムが慌てて。
「それは不味いだろう、出来たら穏便に交渉して欲しいが」
ギバラが起き上がり。
「ミンクが言うのが正しいだろう、特に今の国王は一筋縄ではいかん奴だから、俺もあいつの驚く顔を見たいわ」
ライザーがドワーフ国の上空を飛び回ると、地上の住民たちは恐怖で逃げ惑う者や倒れる者が続出したのであった。
勿論、ドワーフ国の国王ギオス・バイオスもその1人で騒ぎを聞きつけて、窓から空を飛び回るドラゴンを見てブレスを吐かれたらこの国は焼け野原になると思い腰を抜かして倒れ込んだのだ。
空の上から見るドワーフ国は国と言うよりは小さな街で煙突が立ち並び煙で地上が霞んで見える位だった。
頃合いを見てライザーが街外れの森の中に降りて箱を外してトムたちが地上に降り、ライザーが人化するとギバラがホッとして。
「いやー、やっぱり地上は良いな~」
ミンクが笑いながら。
「アッハハ! さっきまで震えていた癖に」
「それを言うなよ・・・・・・」
街の中に入るとライザーが空を飛び回っていたドラゴンだと思う人はなく、住民たちはまだ興奮していたのです。
街の中央にドワーフ国の国王が住む城があったが城と言うよりは、石作りの高い要塞みたいでトムは中世ヨーロッパの要塞城みたいだと感じたのです。
街を歩くとまるで前世の町工場が並んでいるみたいで、工場の中では物作りに励んでいて活気があった。
ドワーフ国は武器や道具を作り諸外国に輸出して成り立っていると聞いていたが、その通りだった。
街を歩いていると落ち着きを取り戻した住民が時々。
「ギバラ様、帰って来たのですか?」
ギバラはこの国では有名人なのかと思いジエルが。
「ねえ、ギバラは有名人なの?」
「そのうち分かるよ・・・・・・」
「ふ~ん、勿体ぶって・・・・」
城の入り口に着くとギバラが。
「俺だ、国王に会いに来た、通るぞ」
「あっ、ギバラ様、帰って来たのですか、どうぞお通り下さい、ギオス国王はいつもの所におりますので」
「おうー、ありがとう」
一介の鍛冶師であるギバラがこの国では有名人なのは分かったが、まるでこの国の主であるような行動をしているギバラを本当は何者だろうと思ったトムなのです。
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