第32話 国作り、その10
まだ時間があるのでトムとナナリーナは、移転して船に戻り、土魔法で河の流れを変えてダビデ街の近くまで船が通れるようにしてギルドに行くと査定が終わり受付嬢のマギーが。
「金額が多すぎて今日全部をお支払い出来ないので後日、残額をトム様のカードに払い込んでも良いですか」
「良いけど総額でいくらなの?」
「魔石の代金が白金貨100枚、魔獣の買取り価格が白金貨50枚で合計白金貨が150枚の15億ルーフになります」
余りの金額の多さに前世が貧乏人のトムは驚き社長令嬢だったナナリーナは喜んだのです。
ギルドの前には領主のバーバラが貧民街の移住者を連れて来て、ドワーフの鍛冶師ギバラも来ていた。
貧民街の移住者は着の身着のままの姿で200人位いたが、その中にトムが転生した時に孤児院に連れて行ってくれた犬獣人のお婆さんがいたのです。
トムはお婆さんに駆け寄り。
「お婆さん、俺を覚えていますか?孤児院にいたトムです」
お婆さんがトムをマジマジと見て。
「耳が聞こえなかったトムかえ?えっ! 英雄のトム様があのトムなのかえ」
「そうだよ、あの耳の聞こえなかったトムだよ」
お婆さんはトムの手を握り。
「立派になったねー。私しぁ、嬉しいよ、あのトムがこんなに立派になって、あの世に行ったら園長に知らせて自慢できるよ」
思いがけない犬獣人のお婆さんと再会してトムは足腰の弱ったお婆さんを背負い船に乗せたのです。
領主のバーバラがトムの姿を見て涙を拭いて。
「トムは本当に良い子だね。私がもう少し若かったら押しかけ女房になるのに・・・・・・・・」
そんな一幕もあり街の近くになった船着き場で来る時と違い、大勢の人を乗せてキョウト街に向けて船を進ませたのだ。
船の中ではエミリが貧民街の移住者たちを甲斐甲斐しく世話をしていた。
そのミンクとバンクが側に来てミンクがトムに。
「あのね、私たち冒険者を止めるよ」
「えっ?何で止めるの」
「これ以上、冒険者を続けても私たちの力じゃA級冒険者になれないし、トム様の手伝いの方が良いと思ったのさ、バンクも同じ気持ちだよ」
バンクも。
「トム様、俺たちに手伝える仕事は無いかな?」
トムは丁度これからの事を考え外務と防衛を任せられる人を探していたので。
「ミンクは人の心を読んで人付き合いが良いし押しも強いから、よその国との外交を担当して欲しい。バンクには国を守る防衛の軍隊を作って、よその国は攻めない防衛に専念する軍隊の責任者になって欲しいがどうだろう」
ミンクが。
「私に務まるかな」
バンクが。
「俺が軍隊の責任者?無理だろう自信が無いよ
「大丈夫だよ、仲間が協力するから」
ジエルも。
「私も行政長官にさせられたのよ、でも皆が協力して手伝ってくれるから、1人ですると思わないで皆で協力すれば大丈夫よ」
バンクとミンクが。
「分かった! やってみるよ」
ロックは希望通り船団を作って管理する事になり、女豹パーティーは解散してフォーク国で働く事になったのです。
船が船着き場に着き、皆が船から降りて綺麗な街を見て。あの犬獣人のお婆さんが。
「驚いた、まるでおとぎ話の街みたいだね~」
領主のバーバラが絶句して。
「こんな美しい街は見た事が無いわ、お婆さんが言ったおとぎ話の国みたいだわ、私も領主を止めて此処に住もうかしら」
付き添いの家臣が慌てて。
「駄目ですよ、領民が困るでしょう」
「馬鹿、冗談に決まっているでしょう。でも引退したら本気で考えるわ」
移住者を今は仕事の無いエミリとバンクが面倒を見て、独身者は空いているアパートに世帯者は家に案内して行き。
領主のバーバラと鍛冶師のギバラは城に連れて行ったのです。
この世界には無い街並みを見た後に城を見たバーバラとギバラは城を見上げてギバラが。
「何という荘厳で綺麗な城だ! わしは帝国以外の国を全部まわったが、こんな素晴らしい建物は初めて見たよ、ドワーフ国の建築士に見せたいよ」
バーバラも溜息を付いて。
「フゥー、余りにも綺麗過ぎて言葉にならないわ。せめて別荘を建てて時々此処に来るわ」
2人の感想を聞いたナナリーナが得意げな顔をしていたのです。
城の応接間に通されるとバーバラが我慢していたのかトイレに駆け込み暫くして。
「
【キャー!】
悲鳴が聞こえ出てくると。
「用が済んだ後に温かかい水が出て来てビックリして悲鳴を上げてしまったわ、でも汚物を流してくれて身体を綺麗にしてくれて良いわね、私の家にも欲しいわ」
その晩に食前酒のつまみ魔獣の唐揚げと日本酒を出すと唐揚げを食べたバーバラが夢中で食べてお代わりを出したほどだ。
ドワーフはお酒が大好きと聞いていたがその通りで、透き通った日本酒を見てこれが酒かと言う顔をしていたギバラが飲むと。
「なんじゃこりゃー! 水と思ったが滅茶苦茶美味しい酒じゃねーか。樽事くれ~」
此れには皆が爆笑したのだ
最後にカレーライスを食べると、始めて食べたご飯とカレーの味にバーバラとギバラが夢中で食べてお代わりを2回もして。
ギバラは真剣に。
「決めた! 俺はこの国に移住する事にした。こんな綺麗な街で美味しい食べ物があって最高の酒があるこの国は最高だ。トム様、俺をこの国に住まわしてくれ」
バーバラが悔しそうに。
「ギバラは自由でいいなー、羨ましいよ」
結局ギバラはダビデ街の店を弟子に無料で譲ってフォーク国に住み着いたのです。
貧民街から来た移住者たちに住まいを与え、簡単な農作業や街と城の掃除夫として働き給料を払う事を伝えたミンクとバンクが帰って来てミンクが。
「貧民街から来た移住者たちが涙を流して喜んでトム様に感謝していると伝えてくださいと言っていましたよ」
「そうか、良かった」
少しでも人の役に立てて良かったと思ったトムなのです。
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