第9話 ダビデ街で、その1

 街の住民に幽霊を見るように驚かれながら孤児院に行くと新しい園長が対応して、迷惑そうに。


「お前は、死んだと言われて住んでいた小屋は壊して荷物は全部燃やしたから、済まないがもうここにはお前の居場所は無いよ」


 トムは言葉を発せず、ただ頭を下げて孤児院を後にしたのです。


 付いてきたミンクが。


「住む所が無かったら私たちが借りているギルドの部屋を借りたらどうなの、食堂もあるから食事の心配も無く安いから便利で良いよ」


 どうせ冒険者になるのだからギルドの方が良いのでギルドの部屋を借りる事にしてトムたちは、ギルドに行ったのです。


 ギルドに行くと冒険者たちがトムを見て驚いて色々聞いて来たがミンクが対応してくれて、最小限のトムはダンジョンに生き埋めになり助かり、その時のショックのお蔭で耳が聞こえるようになり話せるようになったと説明してくれたのです。


 その日は孤児院の園長が無くなったのを知り、街に戻ってから色々言われて疲れてしまい、ギルドで部屋を借りて休む事にした。


 ギルドの3階と4階が冒険者たちに貸す部屋で、全部で40部屋があり丁度ミンクたちが借りている3階に3部屋空いていたのでそれを借りて、バースは小鳥の姿なのでラガーの部屋に住む事になったのです。


 部屋の1カ月の家賃は大銀貨2枚の2万ルーフで格安なので驚くと女豹グループの魔法使いのロックが。


「この街は冒険者で成り立っている街だから冒険者を優遇していのですよ。街の色んな店も冒険者には割引あるし、そう言えば娼館にも割引があるからトムさんも利用したらどうですか」


 トムはロックに言われて前世の28年と現在の18年も含めると46年間女性と付き合った事が無い童貞だったが、ジョエルが初めての女性で、ジョエルとの情交を思い出して顔を赤くして。


「俺は、娼館は嫌いだ、そんな所に行く気は無い」


 姉御のミンクがロックを睨んで。


「ロック、変な事をトムさんに教えないでよ、全く・・・・・・」


  何故かジエルも冷たい声で。


「ロックさん、毒液を掛けてあげましょうか」

 


 ロックがジエルから慌てて逃げて土下座して。


「ゴメンナサイ! ・・・・・・2度とエッチな事は言いませんから許して下さい」




 その頃ギルドに戻ったソンダイたち4人は、トムが生きていて耳が聞こえて話せるようになったと聞き、嘘がバレると思い対策を話し合っていたのだ。





 ソンダイたちのグループは鷹の爪と言う名のA級冒険者パーティーで今、最も人気のある冒険者だが、影では言い寄って来る女性たちを無理やり犯したりしていたのだ。


 その4人はトムが生きていると、ダンジョンで魔獣のエサにして自分たちが逃げた事がバレルので、密かに殺す計画を立てていた。


 そんなソンダイたちの計画を知らないトムたちは、ギルドで冒険者登録をしていたのです。


 ミンクが受付に連れて行き受付嬢に。


「トムさんの冒険者登録をしてくれるかしら」


 受付嬢がトムを見て噂を聞いていたみたいで。


「本当に生きていたのね、・・・・あっ、この申し込み用紙に分かる所で良いので記入してくれますか、トムさんは文字を書けないのでしたね。代筆をしましょうか?」


「いえ、書けますから大丈夫です」


 トムがまさか文字を書けるとは思っていなかった受付嬢を尻目に用紙を見て。


名前、性別、年齢、得意な武器、スキルは書いても書かなくて良いので書かないで渡すと受付嬢が。


「本当に書けるのね、それもこんなに綺麗な文字を・・・・・・」


 受付嬢が冒険者の初心者に渡す注意事項の紙を渡し説明しようとしたがミンクが。


「当分の間、一緒に依頼を受けるから私が教えるから説明はいらないわ」


 冒険者登録が終わり、冒険者カードを貰い借りている部屋に戻るとミンクが冒険者の事を教えてくれて。


 冒険者と魔獣や魔物には階級があり階級は同じで、上からSS級、S級、A級。B級、C級、D級、E級の7階級があり、冒険者は依頼を同じ階級の魔獣の討伐しか受けられない。


 但し、同じパーティーに属してパーティーにC級冒険者がいるときはC級魔獣の討伐依頼を受けるのが可能なのだ。


 冒険者カードには不思議な事に倒した魔獣、魔物が記録されて嘘は付けないらしいのだ。


 ギルドカードでお金を預けたり出したり出来てカードで買い物も出来、トムは前世のキャッシュカードに似ていると思って便利だと思った。


 ミンクの説明が終わり、トムはギルドで墓地と墓の場所を聞いて、孤児院の亡くなった園長の墓参りに行こうとすると、ジエルが付いて来て一緒に歩いて墓地に向かった。




 墓地は街の外れの森に囲まれた丘の上にあり、2人はのんびりと話しながら歩きジエルが。


「トム様の私に似た名前の恩人はどんな方でしたのですか?」


 トムはジョエルを思い出すときは、何故かお婆さん姿ではなく最後の若い姿を思い出す事が多く苦笑いして。


「そうだなぁ、ジエルと同じで綺麗な女性で魔法を教える時や訓練するは厳しかったが、普段は明るく優しい人だったな」


「そうなのですか、私がジョエルさんの代わりにはなれませんが・・・・・・そのうちに少しでもトム様を癒して上げるようになれたらと思っています」


「ありがとう、今でも十分癒してくれているよ。今は無理だが心の傷は時間が解決してくれるさ」


 2人が墓地に向かって歩いている後ろを隠れて付いて来る4人組には気が付かないトムとジエルなのです。


 その4人組も空から見ている鳥がまさか鳥人だとは思わないで、話しているのが聞かれているとは知らずに何処で襲うか話していたのだ。


 4人が先を歩く2人の肩に小鳥が止まり直ぐに離れたのを見たがそのまま後を付けていったのだ。

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