第7話 森の中でその4


 トムはこの村は住み心地が良いが若いうちに色々経験する為に冒険者になり大陸を見て回りたいと思っていた。


 名前を付けた6人に相談する事にして今は、神木の上にあった家を泉の側に建て直して広くした家に集まって貰ったのです。


 鳥人バース、オーガキングのドガ、白銀狼ゼットは身体が大きいので外の庭で話をしようとしたが3人(匹だが面倒なので人と呼ぶ事にしました)は大きさを調整出来、普通の人間の大きさになり家の中に入って来たのだ。


 白銀狼ゼットは白い子犬の姿になりジエルの膝の上に乗りジエルが毛並みをモフモフして。


「トム様見て~! ゼットちゃんは可愛いでしょう」


 余り可愛いのでトムも撫でたがドガが触ろうとすると「ワン~ウゥ~(触るな)」と吠えて触らせないので皆が笑ったのだ。


 トムが自分の事を言う前にラガーが


「この村も住人が増えたので名前を付けてはどうじゃろう」


 皆が賛成して名前を考えたが中々決まらず、トムが前世のフォークソングは反戦や平和を願った歌が多く民族の歌なので色んな種族が暮らす此の村に合っていると思い。


「フォーク村はどうかな? 民族の意味だが」


 ジエルが賛成して。


「良いわね、響きも良いしフォークに決めましょう」


 皆も賛成して村の名前はフォークに決まったのです。


 トムが冒険の旅に出る事を言い出して。


「俺は此のフォーク村が気に入っているがまだ若いので見分を広げる為に冒険者になって大陸を旅したいと思っている。いずれは此処に戻って来るが」


 ラガーが。


「そう言えばトム様は以前からそう言っておりましたな。勿論わしも付いて行きますがこの村を任せる村長を決めてはいかがですか」


 ラガーがトムにそう言うと皆が付いて行くと言いだしたのでトムが。


「全員が付いてきたら村の管理が出来ないから付いて来る者と残って村を管理する者は俺が決める。まず村長は統率力のスキルを持っているゴブリンキングのブソンだ」


「ええー! 俺ですか、村長は無理ですよ」


「大丈夫だ、ブソンには統率力のスキルがあるから良い村長になれるはずだから頑張れ。」


 それから誰がトムに同行するかで揉めたがトムはラガーとジエルは連れて行こうと決めていたのだ。


 ドガとゼットは、フォーク村の守りに欠かせないので残しバースは空を飛べるので連絡掛かりとして同行する事にしたのだ。


 トムがドガと神獣(白銀狼)ゼットに残す理由を説明して。


「俺の代わりにフォーク村を守ってくれ」


 と言うと納得してオークキングのゼットが。


「フォーク村はドガと一緒に守りますから安心して下さい」


 ドガも同じように言い、トムは安心して旅に出る事にしたのだ。


 ダビデ街に行くのは気が進まなかったが、自分を育ててくれた孤児院の院長に無事を知らせて冒険者登録をする為に行く事にした。



 1週間後にフォーク村を出る用意をしていたが、白銀狼のゼットに追い立てられて3人の冒険者らしき人間が「助けてくれー!」と叫びながら村に駆け込んで来たのだ。


 トムが。


「ゼットどうした! その3人は何者だ」


「こいつらは、凶悪なビックベアー魔獣に襲われていたから村に連れて来た」


 村の住民たちは本当の人間はトムだけでキング・オブ・キングスのブソン、オーガキングのドガ、鳥人キングのバース、のような獣人、魔物、魔獣、ばかりなので村に来た3人は自分たちが殺されて食べられると思い、恐怖に襲われて身体を震わせていたのです。


 トムは人化したジエルを呼び対応に当たらせると3人は、今度は余りにも場違いな絶世の美女の登場に驚いていたが、ジエルが人間だと思い少しは落ち着いてジエルの案内でトムの家に連れて行った。



 トムはゼットから3人を連れて来た事情を詳しく聞いてから家に行くと3人の冒険者たちは、トムをまじまじと見てから。


「ト、トムじゃないのか?ダンジョンで死んだはずじゃなかったのか?」


 トムも3人を見て思い出した。3人はトムに小遣い稼ぎをさせるためにわざと荷物運びを何回か頼んだ優しい冒険者たちだったのだ。


「うん、トムだよ。この通り生きているよ」


「ええー! 言葉を話せるのか」


「色々あって今は耳も聞こえて話も出来るよ」


 3人の中の姉御みたいな女性が喜び涙を流して。


「良かった! 本当に良かった。トムが生きていて耳が聞こえるようになっているなんて・・・・・・信じられないわ」


 トムは自分の為に涙を流して喜んでくれる人がいるとは思わなかったので嬉しかったのです。


 3人にトムは礼を言い。


「以前はお世話になりました。小遣い稼ぎさせる為わざわざ荷物運びをさせていただき、ありがとうございました。改めて名前を教えて下さいませんか」


  姉御風の女性が。


「私たちはB級冒険者グループ女豹で私がリーダのミンクで弓使いだ」


  小柄な男が。


「僕は、ロックで魔法使いだよ」


  大柄な男が


「俺はバンクで剣士だ」


 女豹グループは深淵の森で道に迷い入り口と反対の奥に向かって進んでしまってA級魔獣のビックベアーに襲われている時にゼットと配下の白銀狼10匹がビックベアーを倒して助けたのだ。


 女豹グループはゼットが自分たちを助けける為にビックベアーを倒したと思わず、新しく出た魔獣だと思って追いかけられて逃げてフォーク村に辿り付いたらしい。

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