第4話 森の中でその1


 気が付くとそこは、見た事も無い森の中で移転魔法を使う時は、行った事のある所か自分の魔力を流した座標のある所にじゃないと何処に移転するか分からないのに、慌てて移転したので知らない場所に移転してしまったみたいなのだ。


 トムは落ち着いて行動しなくてはと思い、1番太くて大きな太さが30メートル以上はある大木の上に瞬間移動して大木の上から辺りを見渡すと、見える範囲の周囲は森ばかりで何も見えなかった。


 ガッカリしてどうしようか考えて、無暗に森の中を歩くのは危険なので大木の上に蔦を使い前世の記憶にあるハンモックのような物を作り、横になって、今までの事、前世の事、此れからどう生きるか考えてから行動する事にして。


 先ずは、自分のステータスを知らないと困るのでジョエルから移し獲った鑑定の目で自分のステータスを見ると。


 名前 トム

人族 男 18歳

称号 ?????

レベル・・5(最大10)

生命力・・70(最大100)

魔力量・・600(最大1,000)

スキル

移し獲る、(相手のスキルを奪い取り自分のものにする)

鑑定の目(物の特性、善悪、ステータスを見れる)

空間魔法、(瞬間移動、移転、無限収納、他)

火、水、風、土、魔法

言語翻訳

(全ての言語、理解、話す事が出来る)



 自分のステータスを見て、今まで他人のステータスを知らないトムは比較する事が出来ず、このステータスが高いのか普通なのか分からずに街に行ったら他人のステータスを見て見ようと思ったのです。


 次に此れからの事を考え、産まれてから耳が聞こえない言葉も話せない前世で言う、身体障害者で此の世界の学問をした事が無く行動範囲も狭くお金の価値も知らない事に気が付き、此の世界の地理、国、など何も知らないが前世の知識科学が発達していて自動車、パソコン、スマホなどがあり、大学を卒業して物理学の研究者だったので何とかなると思ったのだ。


 性格は大雑把で小さな事は気にしない良く言えば大らか、悪く言えば雑な性格だったみたいだ。


 最後に自分の容姿を見た事が無いので、木ノ上から見える小さな泉に移動して鏡のように泉に映る自分を見ると。


 身長は大きく185cm以上はあり身体はダンジョンで訓練したせいか、筋肉質の引き締まった身体でお腹も出ていないのでホッとした。


 髪の毛は緑がかったブロンドで瞳は紫色で、顔立ちは前世のギリシャ人みたいで平均以上の綺麗な顔で、前世ならモデルにもなれると思って苦笑いをしたのだ。


 トムは大木のハンモックに戻り、生まれ変わった自分に驚いたが、此れからは冒険者になりのんびり世界を旅してみるか、田舎で家畜を飼い、野菜を育ててゆっくり暮らすのも良いなと思いながらいつしか眠りについていたのです。



 動物や獣の鳴き声で目を覚ますと、言語翻訳スキルのお蔭で動物や獣の鳴き声の意味が分かり、ジョエルの言っていた五月蠅いだろうの、意味が分かり言語翻訳を閉じると思うと、意味が分からなくなり普通の動物の鳴き声になって、まだ朝が早いので2度寝をしてしまった。


 次に目を覚ますと静かで動物や獣はいなくなっていたのだ。


 昨日、見つけた泉に行き裸になって身体の汚れを落としマジックバックに入れてあった服に着替えた。


 ジョエルが形見にくれたマジックバックの中には着替え、剣、お金が大金貨10枚、金貨10枚、大銀貨10枚、銀貨10枚、合計1,111万ルーフ前世の円にすると1、111万円の他に大量の食材と調理された料理が入っていた。


 マジックバックの中の空間は時間が止まっていて、ジョエルが作った料理は作りたてのように温かくトムは、ジョエルに感謝して涙を流して料理を食べたのです。


 魔女ジョエルは命の恩人だけでなくトムにとっては最高の師匠で生涯忘れる事の出来ない人だと心に刻んだのでした。



 トムは当分の間この森の中で暮らす事にしたのだ。その為にまず住む家を作る事にして大木の幹は太いので幹と幹の間を丈夫な蔦で網目状にしていると大木の葉が揺れる音がして。


「わしの身体に傷をつけないでくれるか」


 まさか植物の大木の意志が分かるとは思わずに、驚いて枝から落ちそうになってしまうと、大木が。


「何と! 人間よ、わしの言う事がわかるのか?」


「分かるよ、動物の言葉も分かるよ」


「な、何と!・・・・・・驚いたわい、何千年も生きておるが・・・・植物や動物の言葉がわかる人間に合うのは始めてじゃ、お主の名前は何と言うのじゃ」


「トムだ、俺もまさかこんな事になって驚いている」


「トムよ、わしの身体に住むのを許そう。その蔦の網目では不安定だから、チョット待つのだ」


 大木はそう言うと枝を動かして20メータ四方の平らな場所を作り。


「この上に土魔法で家を建てるがよい」


「ありがとう、早速、作るよ」


トムが土魔法で前世の1LDKの家を作ると大木が。


「トムは器用じゃのう、家が飛ばないように囲うぞ」


 大木が作った家を枝で囲い強風でも飛ばないようにしてくれてトムは動植物と話す事が出来て嬉しくなったのでした。


 だが不便な事もあった、それは椅子や家具を作ろうとしても100年以上たった植物は、意志を持っていて痛いのが分かるので木を切れないのだ。


 森の中には枯れた木もあるので枯れた木を利用して簡単な家具を作り家らしくなったのだ。


 家の家具を作りながら大木と話してこの森の事を聞くと、この森はトムが育ったライガー王国の僻地にある冒険者の街ダビデとバロン帝国の間にある深淵の森で森の真ん中くらいの所の場所らしいのだ。


 大木とは、色々話して此の大陸がリーガ大陸と言い、大小様々な国がありその中でもライガー王国とバロン帝国が大きく小さな国を属国にする為に競い合って小さな国を攻めているらしい。


 大木と呼ぶのは変なので名前を付ける事にして。


「大木さん名前をラガーと付けて名前で呼んでも良いですか」


「おおー! 名前を付けてくれるのか、ありがたいラガーは良い名前だ。此れからはラガーと呼んでくれ」


「うん、ラガー、宜しく」


 トムがラガーに名前を付けて呼ぶとラガーが光に包まれてトムは身体中の力が抜けて座り込んだのです。


 ラガーが。


「忘れておったわい、名前を付けると、主従の契約が結ばれて名前を付けられた方は従となるがステータスが上がり名前を付けた主は魔力を持って行かれるのじゃ」


「そんな大事な事は先に行ってよ」


「すまん、すまん、初めての事で興奮して忘れておったのじゃ」


 トムがわしの主人になったので此れからは主様と呼ばねばならんのう」


「止めてくれー! 名前で呼んでくれ」


「仕方ない、トム様と呼ぶ事にしよう、動物にはステータスがあるが100年以上たった植物にはスキルあるのじゃが、トム様は鑑定の目を持っておるからわしを鑑定してくれんか」


 トムが鑑定してみると。


名前 ラガー

植物王、神木 年齢 ??

トムの従者

スキル

分身人化

千里眼

木の魔法


 見た事を伝えると。


「何と、植物王と神木に進化して分身人化と千里眼のスキルが付いたのか、早速、試してみるか」


 ラガーが分身人化を試すと本体はそのままだが50代の男性の姿になって人語を話して。


「嬉しいのう~、まさか人の姿になれるとは、此れでトム様の旅のお供が出来るわ」


「えっ?俺と一緒に来るの?」


「主様について行くのは従者だからあたり前じゃろう」


 こうして人化したラガーがトムの従者として行動を一緒にする事になったのです。

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