第110話 裏切りの騎士ー2

 俺はランスロットさんのステータスを再度確認した。


 そして自分のステータスを見比べる。


 まずは今の俺のステータス。


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名前:天地灰

状態:良好

職業:覚醒騎士【覚醒】

スキル:神の眼、アクセス権限Lv2、ミラージュ、ライトニング、心会話

魔 力:999999

攻撃力:反映率▶75(+30)%=1049998

防御力:反映率▶25(+30)%=549999

素早さ:反映率▶50(+30)%=799999

知 力:反映率▶50(+30)%=799999


装備

・龍王白剣=全反映率+30%

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 そしてランスロットさんのステータス。


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名前:ランスロット

状態:良好

職業:神の騎士【真・覚醒】

スキル:神の眼、アクセス権限Lv2、闇の眼(使用不可)、最優の騎士、心会話

魔 力:1000000

攻撃力:反映率▶75(+30)%=1050000

防御力:反映率▶25(+30)%=550000

素早さ:反映率▶50(+30)%=800000

知 力:反映率▶100(+30)%=1300000


装備

・なし(最優の騎士の能力で全能力+30%)

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「なるほど、最優の騎士。それがランスロットさんの真・覚醒スキルですか。シンプルな能力上昇、強いですね。それに闇の眼? なんだ?」


「……それは我が裏切りの証だ。だが安心するといい。その眼を使うことはない。その目はもう潰してしまっている」


「え?」


 俺はその詳細を見つめる。


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属性:スキル

名称:闇の眼

入手難易度:ー

効果:

・自身の知力より低い知力を持つ相手を操ることができる。

※操っている対象の合計知力が自身の知力を下回っていなければならない

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「……一体どういう……ぐっ!?」


「ステータスを見るのはかまわんが、隙があるなら攻め込ませてもらう!!」


 ランスロットさんからの反転、俺は神殿の支柱へとライトニングで一旦退避。

そして最優の騎士のスキル効果も念のため確認する。


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属性:スキル

名称:最優の騎士

入手難易度:ー

効果:

・自身の全能力+30%

・騎士系スキルが一段階上昇する。(該当スキルなし)

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(騎士系スキルが一段階上昇? でも該当なし、確かにランスロットさんにはスキルが……)


 するとランスロットさんがゆっくりと俺に向かって歩いてくる。


「確認できたか? それが最優の騎士と呼ばれる私の果てだ。裏切り者のくせにこんな大層な名前をもらったな。すべては騎士のスキルも持てぬ私があの方の騎士になってしまったばかりに招いた結果。私の業だ。すべて私が悪いのだ。ライトニングさんが、ミラージュ君が、私の代わりに騎士になっていれば結果は変わっていたかもしれん。白の国は滅びなかったのかもしれん」


「……」


 俺は思い出していた。


 この闇の眼を見て思ったことはあのスキルに似ているということ。


 彩を殺そうとしたフーウェンを、レイナを殺そうとしたソフィアさんを、そして多くの滅神教を操るあの力。


 狂信状態にする力に似ている。


 そして、あの黒い騎士達も同じ力を持っていた。


 ならこの闇の眼を持つと言うのは。


「ランスロットさん、あなたは……もしかして……」


 するとランスロットさんの白い甲冑の頭部だけをランスロットさんは取った。


 その奥にいたのは、悲しそうな黄金の眼をした青年。

年は俺とそれほど変わらないようにすら見えた。

少しウェーブのかかった髪に、西洋風の整った顔、顔には傷を作りながらも俺は真っすぐと見つめる。


「そうだ、灰よ。今君が疑問に思っている通り。私は……白の神の国の人間ではない。私はただの裏切者。敵国の神を愛してしまった裏切りの騎士。使命も忘れ、その眼も自身でつぶし、何が正義かもわからなくなったバカな男だ。それなのに、あの優しいお方は……アテナ様は、私に光をくれた。ゆえに私は剣技を磨き、あの方にすべてを捧げたのだ。その結果がこれだがな」


 そういうランスロットさんの目は涙を流しているように見えた。

俺はかつて神の眼をもらうときにランスロットさんの記憶の旅を思い出していた。

全力で黒い騎士達と戦うランスロットさん、きっと命を賭けて守ろうとしたんだろう。


 神の眼、きっとあの女性こそがアテナと呼ばれる白の神なのかもしれない。


 そしてその後どうなったかはわからない。


 でもきっと今の世界を見る限り、白も黒もいなくなってしまったんだろう。


「ランスロットさんは……悪くない。何も知らないけど、あなたが悪い人にはどうしても見えない。だって……記憶の旅でみんなあなたを信じていた。みんなあなたを信じて戦っていた!」


 俺はライトニングさんの記憶の旅を思い出す。

みんな心からランスロットさんを信じていた。


「ふっ。甘いことを。では灰よ、もう一度、本当の名を名乗ろう」

 

 涙を拭いて、俺を見る。

その眼は本当に本気で今から戦うという意思を込めている。


 そしてその名乗りは、間違いなく敵だと自分で宣言するように。


「我は帝国最強の12騎士が座る円卓の騎士が一人。世界のすべてを手に入れ、世界を滅ぼそうとした黒と呼ばれた帝国の人間、名を」


 そして俺に剣を向けて言い放つ。


「──ランスロット。だから灰よ、どうかこの裏切りの騎士を殺してくれ」

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