神様からの依頼

第1話 セルフネグレクト

 石の棺に入れられてから、一度も目を開けてくれないのですね。


「あなたはもう、私の事を忘れてしまったのですか?」


 もういちど、私に微笑みかけて。

私の頬に触れて口づけをしてくれませんか?


 でも、本当は知ってしまったの。

ひとの寿命が、私たちとはあまりにも違い過ぎることを・・・


 夕闇が空を包む頃。


 もう起き上がることすら出来なくなったこの身体は、今でも熱く燃えているの。

恋するこの胸は、色あせることなく、変わらぬ想いに恋焦がれてしまっている。


 石の棺に散りばめられた宝石が、私の想い。


 空高く舞う、このドラゴンに恋をしてくれたヘンな王子様。


 どうか、最後まで傍に居させてくださいね。

共に、骨と皮となっても、砂となって、この星の風に舞うその日まで・・・



 ◇この異世界に、土葬や火葬という発想がなかった時代。


 人々は、疫病に苦しんでいた………。


 そんな世界に、神々は【 葬儀屋 】を遣わしたのである――――。


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