第7話 絆をより深める
アディーはぽつりぽつりと話始めた。
「第一王子と、第二王子が居ないのは変だと思っただろう?」
「見かけないなとは思った」
「二人は廃嫡され、別の貴族の下働き──という名目で監視されているよ」
「何をしたんだ?」
「……城の中で、セーフワードが言えない状態のSubに性行為を強要していた。私はソレを見て、咎めた」
「だろうな」
「すると兄達は私に手を出した、無理矢理なセーフワードを決められた上無理矢理の行為を行って、幼くセーフワードも言えない状態の私はSub drop状態に陥った」
「それを見たミハイルが兄達の件を父上に言い、兄達は廃嫡、私は強姦された為、SubとしてDomと信頼関係が作れない事、また他者に恐怖を感じる事から自分から王になるのをやめた」
「……そうか、だからお前はやつれていたんだな。屑共の行為が悪夢になってまだへばりついてるんだな」
時雨が確認するように言うと、アディーは頷いた。
「セーフワードが言えないのも、言えない状態で無理矢理されたから、なんだな」
「ああ……」
アディーは泣き笑いを浮かべた。
「すまない、こんな汚れた体で」
「何処が汚れた体だ!」
時雨は思わず怒鳴った。
「俺はお前の事綺麗だと思っている、だから無理強いさせたくなかった」
「シグレ……」
「だから嫌なら言ってくれ『Strip』」
「……」
アディーは衣服を脱いだ。
色白の痩せ細った体があらわになる。
時雨はアディーを抱き寄せて、髪を撫でる。
「綺麗だ、汚く何てない。綺麗だアディー」
「シグレ……」
時雨はベッドにアディーを押し倒して抱きしめた。
「これ以上はしないよ、このまま抱きしめさせてくれ」
「……ああ」
時雨は自分の服を脱ぎ、裸になった。
筋肉質な体が露わになる。
時雨とアディーは裸で抱き合い、ベッドの上でともに眠った。
「今度からアディー殿下とあそこに住む、ですと?!」
屋敷から戻ってきた時雨はミハイルに二人で住むことを伝えた。
「ああ、アディーと二人で決めた」
「……分かりました、私から陛下にお伝えしておきます」
「ミハイル、ありがとうな」
「いいえ、荷物の方は……」
「必要なものだけもってくから大丈夫だ」
「かしこまりました」
時雨は、アディーの屋敷へ行き、アディーの部屋に入った。
「アディー」
「シグレ」
アディーが時雨に抱きつく。
「これからはここで一緒に暮らそう」
「ああ」
「あと、お前が良ければCollarを何かつけたいんだが……王族に首輪は不味いよな」
「私は気にしないが……」
「俺が気にする! よし、じゃあブレスレットにするか」
「ブレスレットか……」
何処か不満そうなアディーに、時雨は問う。
「……やっぱ首輪がいい?」
「ああ、首輪がいい」
「仕方ない、じゃあ首輪で見繕いたいんだがこの場合どうすればいいんだ?」
「ミハイルに王族がつける用のCollarを持ってきてもらえばいい」
「よし、ミハイルに頼むか」
アディーがミハイルを呼び出し、Collarが欲しいからと言うと程なく、何種類もの首輪が用意された。
「んーアディーはどれがいい?」
「これとこれのどちらかで迷っている……」
黒地に白銀色のアクセサリーがついた物と、黒地にオレンジ色のアクセサリーがついた物の二種類だった。
「俺は……こっちだな、俺の黒髪と、お前の髪の色に近いから」
「そうか、じゃあそれにしよう」
黒地に白銀のアクセサリーがついている首輪を時雨はアディーにつけた。
アディーはふぅと息を吐いて落ち着いた。
「大丈夫か」
「ああ、しっくり来る。安心する……」
「そうか、それなら良かった」
時雨はアディーのほおを撫でた。
「シグレ、有り難う、勇気が出たよ」
「ん? 何の?」
「今居る兄妹達と合う勇気が」
その言葉に時雨は一瞬あっけにとられたが、すぐににっと笑った。
「そうか、それは良かったよ」
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