第7話 発覚する関係! めぐみのお風呂タイム
「はい、お兄ちゃん! これ、あげる!」
「お……おおおお! こ、これは……!」
今日はあまね以外のメンバーがそろっていた。マンションの一室を改良したオフィスでくつろぐ俺に、かぐやが映像ディスクを笑顔で手渡してくる。
そのタイトルは「元気いっぱいの中等部学園生、九条院かぐや! 真夏のビーチ、あなたと2人で……」というものだ。パッケージイラストにはかぐやちゃんの眩しい水着姿が載っている。
「去年発売し、一瞬で完売したという……! 幻の……!」
「うん! お兄ちゃん、私みたいな少女でも欲情しちゃう変態さんでしょ? きっと喜んでくれると思って!」
「え!? ちょ、かぐや!?」
「え~? だぁってぇ。かぐやの戦闘スーツ姿を見て、鼻の下を伸ばしていたじゃない?」
「ち、ちが……! お、俺は! おっきいのも小さいのも、両方好きなだけなんだ!」
そう。俺はロリというだけではない。しずくの様にたわわなおっぱいも、めぐみの様な慎ましいおっぱいも。そしてかぐややあまねの様なロリボディも愛せるというだけの男だ。
そんな俺の声が聞こえたのか、しずくは困った様な表情を見せ、めぐみは半眼でこちらを見ていた。
「む……ゴホン。ありがとう、かぐや。これは貰っておくよ」
「やっぱり変態さんだぁ」
「それより。今日の予定を伝えるぞ。魔獣災害が発生したら、直ぐに各自のスマホにアラームが鳴る。その時は俺から指示を出す」
魔獣災害の発生率は地域差がある。俺の課が受け持つエリアは、比較的低出現だ。まぁ隊員は全員学園生だし、当然と言えば当然だが。
「それまでめぐみとかぐやは指定ルートを巡回。しずくはここで待機だ。万が一魔獣災害が発生した時、しずくにはここから現場に直行してもらい、2人には巡回地点から向かってもらう」
「……ふぅん。隊長はしずくと2人っきりでここに残るんだ?」
「……そうだ。全員巡回に出ても良いが、もし魔獣が発生した時。即応できる戦力をここに置いておくのも大事だろう?」
めぐみは半眼のまま、俺にとげとげしい視線を向けてくる。若干やましいところがある俺は、その視線を逸らしてしまった。
「そんな事言ってぇ。どうせお姉ちゃんとエッチなことするための口実に、私とめぐみちゃんを追い出すんでしょお?」
「え……!!」
かぐやの不意打ちにより、分かりやすく反応をしてしまう。ふとしずくに視線を向けると、彼女も赤くなりながら焦っていた。
「か、かぐや!? な、何を言っているの……!?」
「えぇ~? お姉ちゃん、気づかれてないと思ってたのぉ? あんなに分かりやすく魔力が上がっているんだもん、心当たりなんて一つしかないってぇ。あまねちゃんも気付いているし、めぐみちゃんも知ってるよね?」
「……ちょうど今日、その事で本人から話を聞いたところよ」
「め、めぐみさん!?」
「ほらやっぱりぃ。まぁお兄ちゃんが呪いを受けちゃったのは、私たちにも責任はあるけどぉ。お兄ちゃんの呪いについて知っている人も限られてるしぃ」
……なんてことだ。まさかこんなに早くばれるなんて。いつまでも隠し通せないだろうなとは思っていたが、早すぎる……!
というかしずくの魔力、そんなに分かりやすく強くなってるのか……。
「あー、ごほん。まぁばれてしまったのなら仕方ないが。しずくは俺の魔族化抑制に協力してくれているだけだ。一度事を済ませたら数日は呪いの影響が出ないし、別にここにしずくが残ったからといって、いつも行為に及んでいる訳ではない」
「そうなの?」
もちろん建前だ! 2人が外に出たら、思いっきりしずくとヤるつもりだった。しずくもその気だっただろう。
今日までもう何度しずくと致してきたか。……思いだしたらまた股間が膨らんできた。
「……しずくはもう5回以上ヤってるって話してたけど?」
「しずく!?」
「え!? そ、その……」
めぐみに何話してるんだ!? 結局今日はこの後も2人から追及を受け、巡回に出る事はなく定時を迎えた。
■
伊智倉めぐみは家に帰ると、風呂に入る。そして湯舟に浸かりながら今日のことを思い出していた。
「……なによ、隊長もしずくも。結局認めちゃってるし……」
そのこと自体を責めるつもりはないし、そもそも自分にその資格はない。それにしずくが「これは己の魔力を高めるための行為です」と言えば、術士としてはそうか、としか言えない。
そう。術士にとって魔力を上げるという事は、何にも変えられないことなのだ。
ましてやしずくは九条院に名を連ねる者。その方法が男性と身体を重ねる事だと明るみになれば、いろいろ議論は呼ぶだろう。
しかししっかりと魔力が上がっている以上、表だって批判する者は少ないとも思う。
「……気持ちよくなる上に、あんな魔力が得られるなんて。ずるい……」
しずくは子宮で呪いを魔力に変換する際、ものすごく気持ちよかったと話していた。
めぐみは処女だし、まだ性のあれこれは知らない世界だ。だが同じ四大術士家系でありながら、しずくには術士としても女としても先を行かれた気がした。
「……そう言えばあいつ。おっぱいの大きさは小さいのも好きって言ってたな……」
あの日、魔族と牛剛鬼に立ち向かった昂劫の姿を思い出す。術士の常識を覆す実力に、男なのにSランク相応の術を見せた戦い。
正直言って、あの瞬間の昂劫はとてもかっこよかった。それに身を挺して自分を守ってくれた。
めぐみはどちらかと言えば男嫌いだ。いつも嫌らしい目で自分たちを見ているし、同級生もきっと脳内でしずくや自分を犯しているだろう。それが分かる分、嫌悪感に近い感情を抱いている。
そのため、男性に対して素直にかっこいいと思ったのは、昂劫が初めてだった。
めぐみはその指先をそっと自分のツルツルなマタに這わせてみる。そして軽く上からなぞってみた。
「ん……!」
ビクリと身体が震える。これまで自分でもあまり触ったことはないのだ。
将来家が決めたどこかの家系の術士と結婚し、優秀な術士の遺伝子を残すために子を作る。それが自分に求められている役割。男性との行為はあくまでそのための手段。そう思っていた。しかし。
「ん……ぁ……」
しずくと昂劫が情事に耽っている姿を妄想する。そして頭の中で、しずくを自分に置き換えてみる。
(ここに……あいつのが……出入りしているの……?)
呪いを受けた直後、昂劫は意識がないながらも股間を黒く変色させ、巨大なサイズになっていた。
鏑木が処置を施したことで、いくらかサイズは縮んではいたものの、あんなものが自分の中に入るとは思えない。だがしずくはあのグロテスクなモノを受け入れ。快感と魔力を手にした。
(ん……っ!?)
段々指の速度が上がっていく。同時に自分が興奮してきているのも分かる。
これまで意識していなかった、性への目覚めと興味。いつの間にかめぐみの脳内では、自分と昂劫が情事に耽っていた。
(んん……! だ、だめぇ……! は、はげ、し……! 指、止まんない……!)
これまで忌避感を感じていた肉欲に、自ら身を任せる背徳感。そして増々高まる快感。
もう少しで何かがくる。その先を感じてみたくて、めぐみはより指の動きを速める。
(だ、だめぇ、これ、以上はぁ……!)
今自分の身体に触れる手が昂劫のものであったら。そう考え、興奮と快感は加速度的に増していく。
そしていよいよその時が訪れるかというタイミングで、風呂の外から侍従の声が聞こえた。
「……めぐみ様。大丈夫ですか? 随分長風呂でございますが……」
「…………っ!?」
侍従の声でハッと我に返る。めぐみは心臓をばくばく鼓動させながら、何でもない様に答えた。
「……え、ええ。大丈夫よ。もう上がるわ」
「良かった。もしかしたら湯舟で寝てしまったのではないかと不安でした。では……」
どうやら侍従にはばれていない様だ。めぐみは安心してホッと息を吐いた。
しかし不満もある。もう少しで快感のその先に辿り着けそうだったのに、お預けをくらってしまった形だ。
そして冷静になった頭で、さっきまで自分が考えていた事を思い出し、顔が真っ赤になる。
(わ、わたし、なんてことを……。よ、よりによって、あいつと……! その、している妄想でいたしてしまうなんて……! そ、それも、湯舟の中で……!)
自分では分からないが、もしかしたら湯舟の水に自分の体液が相当量混ざっているのではないか。
言葉にできない罪悪感をどこかで感じながら、めぐみは風呂を出た。
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