あのドアの向こう側へ

アオヤ

月って・・・

俺、青木翔は高校の悪友石井優希と月島瑠那の三人でネットゲームの世界に入り浸っている。


三人ないし四人のメンバーで『月の迷宮ダンジョンを攻略する』というものだ。

俺は前衛、優希は後攻、瑠那は案内攻略担当だ。


このゲームはネットの対戦型でブロックチェーン技術が使われている。

その恩恵か迷宮をより早く踏破すれば賞金が出たりする。

まぁ~賞金といっても仮想通貨だが・・・

この仮想通貨、最近は価値があがってすごいことになっているらしいい。

一時期と呼ばれる億万長者を出したらしいが、その一年後には暴落して価値はだいぶ下がってしまったようだ。

が騒がれた頃、運悪くドルや円に換えた人たちはしっかり税務署にチェクされているので、一年後物凄い税金を請求されて破産した者も少なく無かった様だ。

ゲームのアイテムや迷宮内の罠などもオリジナル性が高いモノは売り買いして仮想通貨に換える事が可能だ。

俺たちも珍しい罠やアイテムを開発して僅かなお小遣い稼ぎをしたりしている。


迷宮攻略するメンバーなんだからぴったり息が合った仲間を想像するが、俺達はお互いが何を考えているのか全く分からない。


この前なんかオレが罠に掛かってしまったら優希と瑠那は置き去りにして行きやがった。

対戦型なので相手をはめる為に罠を仕掛ける事が有るが、連絡ミスで俺達が仕掛けた罠に自分達がハマる事も度々ある。


「お前らよくこんなメンバーでやってるな?

お前らと毎回対戦だったら楽に勝ち上がれるのにな・・・」

知人には皮肉を言われるが3人でつるんでいるこの時が、楽しくてメンバー替えなんて全く考えられない。



「おい翔、昨日の不思議チャンネル見たか? 」

いきなり優希は昨日のTV番組について語りだした。

その番組はUFOやUMAなどを紹介するいわゆるオカルトものの番組だ。


「あぁ優希、『ムー大陸に住んでいた人々は月からやって来た』という話しだろう? いくらムーとムーン(月)が似ているからって・・・ それは無いよな? 」

俺は顔を横に振りながら近寄ってきた優希を見る。


「あぁ全くだ。しかもそこに住んで居た人々は尖った耳をした長寿命の人々で『エルフ』のモデルになった人々だったなんてあり得ないだろう? 」

そして優希は目を見開いて語りつづける。  


「しかもムー大陸の人々は天然痘に感染して99%死んでしまい、仕方なく月へ帰って行った? そして毎年流行するインフルエンザとその月の人々が関係しているなんてありえなくねえ? 」


「でもさ~ 毎年流行するインフルエンザはいったいどこからやってくるのだろう?」


「一般的には渡り鳥がインフルエンザウィルスを運んできて、それが人に感染する型に変異するとかいわれているけどね・・・」


「でも、その渡り鳥はいったいどこで感染してくるのだろう? 北欧か? 」


「番組でやってたろう? その感染源が宇宙からだったら・・・ 宇宙から運ばれたウィルスに鳥が感染するとしたら・・・ 」

優希が真剣な顔して言うから俺は笑ってしまった。


「ありえないだろう。そもそもなんで北欧で渡り鳥がウィルスに感染するんだ? 」


「それは・・・ 磁場や地球の自転の関係じゃないかな? 赤道近くは物凄いスピードで地面が動いているけど、北極近くはそこよりはユックリ動いているし・・・ オゾン層とかも関係あるんじゃない? 」



「それで・・・? ムー大陸とインフルエンザがなんの関係あるの? 」

急に俺たちの話しに月島瑠那が割り込んできた。


「あぁ〜 月には今でもエルフが住んでいて、北極の冬の日が昇らない時期に地球にやってくる。その時、月のインフルエンザウィルスを運んでくるんだとさ。」


瑠那の頭の上には?マークが浮かんで見えた。

「エルフって・・・? あの転生モノのの物語りで出てくるエルフ? 」


「あぁ〜 そのエルフだよ。そういえば・・・   このゲームでも偶に現れたりするよな? 」


「このゲーム内では月の住人という設定になってるけど、関係あるのかな? 」


瑠那はニコニコしながら俺達を見る。

「ねぇ、私ってそのエルフに似てると思わない? 似てるでしょ? 」


「なんでそうなるんだ? ほらそこトラップあるから気をつけろよ。」

優希はヤレヤレという顔で瑠那を見る。


でも正直俺は瑠那はエルフに似ていると思っている。

性格的には何でも知ってるお姉さんタイプなのに顔はと思える程幼く見える。

俺はそんな瑠那に淡い恋心を抱いているがそんな事は絶対口にだして言えない。


「も〜 罠なんて私も分かってるわよ。 きゃっ~ もう一つ在るとは思わなかった。」

ビックリして罠を怖がってる瑠那が可愛くて俺はつい笑ってしまった。

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