4.話賭けの対象者

 ☆☆

 最近、実力派のユニットの発見し、社畜生活でもささやかな楽しみを見つけられた。

「新時代を築くのはあなた」

 いいよなぁ。あゆなつ。

 MVを見ているとなつが出てきた。


「うお」

 バグか何かだと思って画面前であわてたが、URLもおかしなところは見られない。

 画面の前で女の子がお辞儀をする。なつだ。


「今、人手不足で、マネージャー候補生を募集しています。このページが表示されているのは選ばれた人だけです。

 以下のIDを入力してくださると、事務所の連絡先と担当マネージャーが応対してくれる仕組みになっています。


 私たち、主にあゆを守ってくださる人を募集しています。

 私たちの歌を一曲聞いてサポートしてくださるか検討をお願いします」


 未発表の曲をあゆと2人で衣装を着て踊るあゆなつ。


 これは本当かもしれない。

「信じていただけたでしょうか? では事務所出会えることを楽しみにしています」

 

 写っていたのは彼女が所属している事務所の外観と何かが書かれたメモをひらひらしているなつの姿。


「なんだ?」


 映像が途切れた。

 ID入力の場面に切り替わる。

「ID?」

 このページの端っこに表示されているIDを入れてみればいいということだろうか?


 恐る恐る入力し、エンターキーを押す。

 事務所の外観と事務所のURL、採用の電話番号が記載されている。

 企業分析をして電話しろということだろう。


「これは乗るしかないっしょ」

 時刻は21時を過ぎている。さすがに今から行動は非常識だろう。

 パソコンのスクリーンショットを使って情報を保存。スマホにも写真で保存。ついでにポールペンで情報を書き、そのまま企業研究を行った。

 今の職に不満はあっても未練はない。

 ちょうど明日は仕事が休みだ。今から研究して、転職書類色々を下書きくらいは行きつきたい。


 翌日、10時さっそく電話する。

 電話する♫

「ええ、はい。山田崇ヤマダ タカシです。ええ、はい」

 アイドルから内部へと事情は伝わっていたようだ。

 変質者と言われることがなくホッとしている。


 次の休みの日、履歴書と職務経歴書を持って

 マネジメント事務所の面接に行くとこになった。


 待合で待っていると肩をたたかれた。


 ドッキリ大成功!!

 の札を持っている彼女に出逢った。思っていたよりも身長が低い。150センチあるだろうか。ゆるフワカールでお出迎えだ。

「ほんものだ……!」

「こんにちは! 来てくれてありがとう!」

「こちらこそ、ファンが押し寄せて申し訳ない」

  3センチぐらいのチャンキーヒール、スキニーとYシャツでかっこいい雰囲気。

「初めまして。夏海なつです。こちらがおもについてもらう西川あゆみ」

「あの話ってホントだったの?」

「マジに決まっているでしょ。私は町中歩いていても気づかれたことないし。

 気づかれてから考えるよ。あゆはね、今コンビニにも行けないんだ」


「なんでですか?」


「純粋なファンとストーカーっぽいやつが多いんだ。なんでだろうね?」


(それはかわいさの違いというやつなのでは)

 夏海はボーイッシュな系統、あゆみはかわいい系だ。

 本人を前にして絶対に言えないことを思ってしまう。


「いくらなんでもいきなりマネジメントは無理だよって思っていた~

 だから買い物頼めたらなって思うのだけどどうかな?

 最低賃金になっちゃうけど」


「構いません。お任せ下さい!!」

「じゃあ契約書にサインと印鑑を下さい」


 サラサラと書いていく。

 俺は雇用契約の欄はさらっとしか確認しなかった。


「あと、はい」

「え?」

「業務用のケータイ電話。

 使い方はわかるかな?」


「ええ。もちろん」

「良かった~本当はスマホで経費落とせればよかったのだけど、厳しくって。

 用の有るときはこれに連絡するね!」


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