第75話 異世界はとりあえず平和かな
エドモント別荘のPOSTに、商業ギルドのイナーバさんからのメッセージのメモが入っていた。何やら、「書類を渡したいので、近くへ来たら、寄ってくれ」って書いてあったので、まあ、善は急げ!ってなことで、寄ってみた。
なんでも、僕の口座の明細だそうで、・・・うん? 確かに凄い金額だな。
普段から、イナーバさんには、「ギルドとして運用してもらっても良いよ」とは言ってあったけどね。運用益の10%が僕の元へ毎月振り込まれているけど、これだけでも、どんどん増え続けている。回収損もあるみたいだけど、それは、ギルドの運用が悪いからだよ。僕の資産が減ることは許さないよ、と言っても、少し怒る程度で、仕置きはしないけど。
だってそうだよ? 資産運用をお願いしたわけじゃないからね、ギルドが僕の口座預金を使いたいって言ってきてやっているんだから、きっちり、儲け続けて欲しいな。
というようなわけで、運用の実績表と今後の予定表を貰って帰ってきた。
今後も、辺境伯領拡張の効果で、どんどん増えていく予定になっている。
いずれにしても、毎月10%、って、年間で120%ってことだよ? 凄いね。
それが、複利で回っていくんだからね、もう計算できない。
結局、僕は、この世界で、何もしなくても、金利だけで、自由気ままに暮らしていける?ってこと。でも、金利の現金さえ不要で、やっていけるんだよ、この異世界、魔法世界は。
別に、あの口座がゼロになったとしても、またどこかで稼げば良いだけなので、そんなに困らない。もう少し、運用の資金枠を多くしてあげても良いかな? ギルドだって、僕の資金から得られる運用益だけで、何人のギルド員を雇える? そういうのになら、金を使っても良いかも・・・
直接、寄付だとか、ただであげるとか、そういう使い方は駄目だと思うんだよね。
だからそういうことはしない。なにより、そういうのに関わるのは面倒だ。
帝都では、聖教教会の幹部が聖剣を刺されて死んでいたことが、大きな騒ぎになっていて、なぜ? 聖剣の加護があるべき教団関係者、しかも幹部が、その聖剣に刺されるって? 聖剣の加護は?、聖教教会の教え?とは反しているのでは?っていう噂が広まって、もう世論にまでなっていて、とうとう帝国は、教会の解散と教会の取り壊しをせざるを得なくなったそうだよ。
まあ、悪意のある教団関係者などは居なくなったりはしないだろうけど、数も減らされているし、金品も没収されて、この国で生きてゆくのも大変なんじゃないかな? そういう連中はどこへ?逃げる?
と、それを追跡しているのが、例の大公さんの特別部隊らしいよ。
きっと、追い詰めて全滅させるんだろうな。あの元勇者メンバーたちも、よくやるよ。
教団と帝国王家が主導していた異世界勇者召喚の儀式は、大公の強い進言もあって、封印されたようだ。封印が甘い!ってヤミちゃんが調べてきて言っていたけど、まあ、とりあえずは、そういう形になったんだな。
この先も、エドモント伯爵・辺境伯領は商業も交易も、人の流入などもどんどん進んで、発展拡大してゆくのは見えているので、帝都は、争ったり、既得権益だけをかざしたりすることなく、正しい国政をしていってほしいものだ。
といっても、人のすることだからね、いつまで続くか?っていう問題はあるな。
繁栄も、衰退も、平和も、なんでも、そのままその状態がいつまでも続くなんてことは絶対に無いのだから。変化にうまく対応していくってのも必要だね。
それでも、肝心な人の心の闇は無くならないからね・・・
欲、妬み、怒り、好き嫌い、感情、しがらみ、などなど、まあ、大変だな。
PS. 第一章 結
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