第53話 ノスエラ第三ダンジョン  


しかし、あの第三ダンジョン、最下層は30層っていうから、今から、行ってこよう。1〜9層は、まあ、良いか・・・とりあえず11階層に転移する。他人の気配の無い場所で現れて、マップを確認、出口に向かっていくよ。

歩かないよ、面倒だもの。マップで分かっているし、最初の魔物の正面へ出る。


オークが4体か、昨日より少ないな。「光刃」で首チョンパして魔石だけ回収して次へ。オーガが2体、軽く「風刃」をぶつけたら、こいつ弾いたよ。頭にきたから、強めの「風槍」で眉間を貫通。魔石を回収して、11階層最後は組み合わせか?


前にオーク4体、後ろにオーガ4体が控える。同時には攻撃はしてこないようだ。

なので、オークを瞬殺して魔石回収。オーガたちには重力魔法「加重」、うん? 耐えているな、・・膝を付いたね、・・手も付いたね、さあどこまで耐えられる? 更に「加重」する。一気に顔が地に押さえつけられて、はずみで首の骨が折れたね、タフなやつらだよ。


12階層に下りる。ここは、大きな沼、湿地帯だ。

湿地帯の上を、足元のグチャグチャなんて気にもならないだろう連中がやってきたな、魔トカゲたちだ。 しかし、ここのダンジョン、魔物の集団が多いのか? これで、初心者ダンジョン? まあいいけどね・・・

まずは、少し強めに「落雷」、ほとんど倒れたな、燃えつきたやつも数体ある。

後方から、雷に耐えた身体の大きな連中が出てきたよ。


何か?かなり怒り狂っている?一度やってみたかった魔法があるんだ。

「重圧」に加えて、「隷属支配」、ハハハハ・・・これで完全服従なのか?

お腹を出してひっくり返っているし、最奥の連中も膝を付いて頭を垂れているよ。

なるほどね、でも、ここダンジョンだから、お前らを連れてはいけないんだよ。

「催眠の風」で眠らせて、放置。


下へ、13階層は廃墟エリアかな? こういうところは、いやだね、地中から這い出してきてるよ、アンデッド、ゾンビにグールがウジャウジャと。しかも、臭うな!

なので、光魔法「浄化」で一斉駆除、仕上げに「クリーン」をかける。

念の為「解呪」なんてかけたら、地中から黒いモヤモヤが立ち上がってきて消えていくよ、ここ、どれだけ呪われているんだ?


先に進むと、今度は「骨」か~ 

何か武器まで色々持っている。なので、まずは武器を回収、収納して、全体に「解呪」「浄化」、これで骨の体がバラバラ崩れて、ダンジョンの地面に吸収されていく、後片付けは便利だな。


一番奥の大きな椅子にまだ座っている骨の大きいのがいる。

スケルトン・キング? りっぱな魔剣を脇に抱えている。こんなのもう階層のボスクラスだよな。なにはともあれ、多めの魔力を込めて、レーザービームを彼の眉間あたりに照射、骸骨を貫通していったが、効き目はあったようで、大きなガタイが崩れ落ちた。

魔石と魔剣が残ったので、解呪してから収納した。


なんと、奥の空間に魔法陣が現れた、これ、帰還の転移魔法陣だね、何? ここで終わりなの? 僕の危機管理・危険察知に反応しないので、そのまま乗って転送される。出た先は、入り口では無かった。


何?ここ? マッピングして確認すると、同じ第三ダンジョンの20階層。

あれ? 14〜19はすっ飛ばし? 中央にコアが光っているし。


念話が聞こえてきた。

「すみません、突然お呼びしました」

「あんた、コアさん?」「はい」・・・って、いろいろ話してくれた。

要するに、最近ダンジョン管理に異常が起きてしまって、レベルや魔物の配分がうまくいかないって言い出して、キングを倒せるほどの僕であれば、なんとかできるかも?って、他力本願かい?


少し、空間感知のレベルを上げて探ってみる。おかしなところ、物、場所・・・

あるね、一か所。ダンジョンの回収空間に1個、呪われた石?がある。

触れないように取り出して、詳細を鑑定。名前は無いが、呪いの紫水晶だ。

効果は、ダンジョンコアに呪いを与え続けて、ダンジョンを破壊する。

誰かがわざと、ダンジョンに吸収させたんだろうか? 

とりあえず、僕の収納内に封印して確保。了解を得て、コアに触れて「解呪」、「浄化」、「クリーン」をかけてみる。魔力も少し低めなので補充しておく。


コアが点滅を繰り返している。修復作業が始まったようだ。

並列思考で聞いたところ、あのスケルトンキングは、もともとは25階層のサブ・ボスだということだ。ただし、強い浄化能力がなければ、決して突破できないそうだよ。

まあでも、これで従来どおりのダンジョン運営ができるらしいので、よかったよ。


それで、例の紫水晶、経緯とか記憶に無いか?聞いたが、過去ログを探るのに少し時間がかかるというので、もし分かったら、念話してくれるようにお願いしておいた。ちなみに、コアに名前などないそうで、「第三ダンジョン」で良いっていうので、僕は、ヒカルって挨拶しておいたよ。


回収空間から、いろいろ出してくれて、何か欲しいものがあればどうぞって言うので、遠慮はしたんだが、是非、是非!っていうので、見ていたら、知らない家紋の付いた、腕輪と短剣があるので、これらを貰い受けた。

僕の鑑定でも、すぐには解析できないようで、謎? 時間がかかるんだろうな。

そんなことで時間を潰していたら、早々に、記憶解析が終わって、紫水晶の痕跡が見つかったらしい。


いまから、800年前、どこかの騎士団が一人の王子を連れてきてここで殺害した。その王子の持ち物が、その紫水晶と、僕の選んだ、腕輪と短剣、ということらしい。そんなところでビンゴしなくてもいいんだけどな〜。

強いていえば、つい最近のことでなくて少し安心したよ。最近のことなら、もう絶対に面倒事だからね。

紫水晶がダンジョンの中で魔物の瘴気をどんどん取り込んで「呪われた水晶」になり果てて、それが最近ダンジョンに影響を与え出したのかもしれないな。


ノスエラ王国の歴史で、空白・混乱の時期があったらしい。

現国王を逆に辿って行っても、そこで繋がらないところがある。クーデターとか戦争とかでは無い。「平和的?」に解決されたと歴史書には書かれている。

それば、800年前の王子失踪事件。

当時、唯一歴代の血を引いていた王子の突然の失踪、王都中で大騒ぎになったが、結局は、傍系だった現国王の先祖が王家を引き継いだというもの。


別の文献には、当時の王子専属の騎士たち4人が王子を逃したが、西方面に向かった情報しかなく、後に、4人の騎士たちの遺体が。王都西側で発見されたが、王子に関わる情報はそこで消える。

なぜ、ダンジョンに吸収されたのか、なぜ、あの呪いの水晶?とか、いろいろわからないけど、家紋がノスエラ王家の家紋ではなかった、あれは、王子の母方の家紋で、今はもちろん途絶えている家系のものだった。



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