第5話 盗賊団

今度の相手は、人間だよ。気分的には、どう?ってことは無いけど、何か、簡単に無力化すること出来ないかな?って思いが伝わったのか、ウインディが、そういうの、私、得意だから見てて、って飛び出していったよ。

どうするのか?って上空から見ていたんだけど、ウインディが近づいたと思ったら、そよ風が吹いて、もう立っている人間がいなくて、みんな倒れて眠っているよ。


※風魔法 催眠


いや〜〜〜魔法って凄いな、もちろん複製しておいたよ。「催眠」、催眠の風、か。

じゃああとは、僕の仕事だ。まず、盗賊たちを、面倒なので、その眠ったまま、時間経過の収納空間へ転送して回収、もちろん武器や金属は、全部回収。

なんと、その間、ウインディは、けが人に「回復」の風を当てている、みるみる出血が止まっているよ。でも、不幸にして手足を失った人がいるのだが、ウインディが、「あの水を少し振りかけてあげて」っていうので、精霊の泉の水をボトルからチョロチョロとかけて回ったよ。不思議だよね、切断面が綺麗になり、そこから肉が盛り上がって再生し始めたよ。ちょっと見てると・・・? 

切断された部分がある場合は更に簡単で、くっつけるように、そばに置いておくだけで、みるみる修復されだして、くっついてしまった、出血も無し。これ、凄い水なんだな、精霊の水。


※風魔法 治癒


それと、治癒の風か。軽く回復をかけるにはもってこいだ。風魔法って凄いな、ってウインディに言ったら、「私の魔法なんて、凄いんだからね〜〜」ってドヤ顔だよ。確かにね。

なんでも、こんなふうに、どんどん僕の手助けを魔法でさせてくれれば、それで良いからというので、よろしく!ってお願いしたよ。

なんでも、そういうことが、精霊としてのレベル上げに必須なんだってさ。だから、もっともっと、私を頼って?って・・・お願いされた。


さて、馬車と、騎士さんたちと、冒険者たち、これ、どうしたら良い?

怪我も直してあげたし、放置することにした。幸い、辺りに、盗賊や、魔物の気配が無いしね、あと1時間もすれば、目が覚めるよ。

なので、僕達は浮上して、人の気配の無い森の中に降りて、収納から、盗賊団のリーダーらしいのを出して、さあ、自白タイムの開始だよ。

ウインディに相談したら、任せてって言うから見ていると、とりあえず、「催眠解除」して目を覚まさせてから、再度、風を纏わせた。これ恐ろしいな。


※風魔法 恐怖


恐怖を与える風、か。

ここまでしてくれたので、僕の出番かな? 恐怖状態のボスに対して、聞き取り調査だ、答えなかったり、逆らったり、嘘をついたりした場合には、恐怖が更に強くなり、苦痛まで伴うようになるんだって。怖いよ〜〜。

ということで、案外、素直に?、話してくれたよ。


仲間は他にはいない、ここには全員で来た、アジトにしているのは、街道から少し山側に入ったところにある横穴。そこに、盗んできた金品などを保管している・・・って。


もちろん、僕は、顔をお面で隠していたよ。思いついて、急遽、錬金で作ったんだけどね。ほとんど、のっぺらぼうの無表情な顔の仮面だ。しかも、そういうふうに意識して作ったからなのか? 仮面を付けていても、視界が遮られることが一切無いし、返って良く見えたりするんだよ。

用事も済んだので、盗賊のボスには、再度「催眠」で眠ってもらって、収納へ。

アジトの場所へ向かう。確かに、山の裾に横穴がある。今、人の気配は無し。ただし、空気は悪いので、「クリーン」してみたら、心地良くなったので中へはいる。


結構、生活感が残っている、最奥の部屋がボスの部屋で、なんだ?何も無い。なので、空間把握を発動させてみるも、隠し部屋も、隠し金庫も無い。ただ、机の脇に一つカバンがある。これだね、鑑定では、マジックバッグ、容量無限、時間停止、ってある。


※マジックバッグ、容量無限、時間停止


僕の魔力を強めに流すと、どうやら、使用者制限が解除され、新たに僕が使用者として登録されたようだ。もちろん、中身は、すべてそのまま僕のもの。

ウインディが、そこらを飛び回りながら、僕のやることを、呆れ顔で、見ていたな〜〜

肝心のバッグの中身は、・・・まあ、多いよ。


オリバー金貨 2000枚 銀貨 5000枚 銅貨 2000枚 

両手剣、片手剣、が各30本、短剣、ナイフ、が各5本、いずれも、魔鉄製、

片手剣、ナイフ、が各1本、いずれも、ミスリル製。

金銭貸借証書、金貸しでもしてるんだな、要調査だよ。

不動産、土地、建物、権利書、不動産を持っているのか? これも、要調査だね。


あとは、空のマジックバッグが2個、

※ショルダー型 容量大 時間停止 

※リュック型  容量大 時間停止 

って、良いものが入っているよ、しかも、未使用? 状態も良い。

ショルダーバッグ型を普段使いにしようかな?色は、ネイビーで、良いかも。

もっとも、錬金変形?で、色も、形も、変えられると思うけど。ちょっとやってみようか・・・

なので、隣の部屋に転がっていた、何故か女性物の小さなポーチを手にして、

「錬金変形」で、内部に収納異空間を設けて、マジックバッグにしてみると、出来たよ。

※ポーチ型マジックバッグ(女物)ネイビー 不壊、容量大 時間停止 使用者限定ヒカル

って、これ、僕専用のマジックバッグだね、しかも、不壊、が付いた。

もう一度、手に取って、錬金変形で、全体の形を少し縦長にして、女性らしい飾りを外して、色は、モスグリーンにしてみた。出来たよ、簡単。


※ポーチ型マジックバッグ モスグリーン 不壊、容量無限、時間停止、限定ヒカル 


よし、これを普段遣いにしよう・・・金貨1枚、銀貨5枚、銅貨20枚も入れておけば、財布だね。ばらばらに入れても、なかでは、整理整頓されているので、小袋も不要か。


洞窟も空になったので、さて、収納してある盗賊団を始末しよう。と言っても、まとめて火葬? 穴掘って土葬? 別世界へ転移させる? 戦闘訓練の的にする? ・・・ということはしないよ。

ウインディに、これからすることを相談したら、良いよ、やれるよ、っていうので、まだまだ遠い、帝都真ん前あたりに転移してきて、衛兵詰め所の前あたりの上空で、まず、ウインディが、真下に向けて、嵐をおこして砂ホコリを巻き上げる、とその中心付近に、収納から盗賊団を全員まとめて転移させる。周りからみれば、突然、目も開けられないような砂嵐が起きて、それが収まって見れば、怪しい連中が眠って転がっている・・・という情景。

一応、ボスの背中の貼り紙には、「街道東の端の盗賊団のボス」と書いておいたよ。


ということで、元の場所に戻ろう。旅は、進むのが良いんだよ・・・


ウインディに、ありがとう、って言って、相談してみた。ああいう場合に、砂埃、砂嵐も良いけど、真っ白い、なかなか消えない霧のようなものを発生させることって、そんなのできないかな? って、なら、アクアに相談してみようって、アクアは、水の精霊だと言う。それで、どこにいるの?ってきいたら、そんなの、あそこの精霊の泉に行けば、なんとかなる、っていうので、急遽、精霊の泉に、「転移」で戻ってきた。 振り出しかぁ~! 


ウインディが、泉の森の中に消えて行ったので、待つこと、10分くらい。

ウインディと同じくらいの背格好の精霊?が現れたよ。

「あ、はじめまして、僕はヒカル、えっと、アクアさんでよかったですか?」

「うん、アクアだよ、水の中級精霊だよ、こんにちは、それで、ウインディから聞いたんだけど、水魔法を見せて欲しいってこと?」

ってくるから、そうそう、参考にしたいんだ、って、ウィンディは、僕のやろうとしていること、良く分かっているな〜〜

僕が、要望を出すと、次々に、水魔法を使って見せてくれた、いろいろ複製できたよ。


※精霊水魔法 雨

※精霊水魔法 霧

※精霊水魔法 水刃 斬撃を刃として飛ばす

※精霊水魔法 水槍 水の槍を飛ばす

※精霊水魔法 水弾 水の塊を飛ばす

※精霊水魔法 水 飲用可、効果は、精霊の泉の水と同じ

※精霊水魔法+精霊風魔法 ストーム 風魔法、砂嵐に水が加わった、強力な嵐


お礼にって、そう言えばと思って、地球製バッグを開けてみれば、思ったとおり入っていたよ。忘れてたけど、チョコレート、板チョコだ。まずは、これを複製して、4個作って、2個をアクアさんに差し上げた。始めは、これ何?黒いの?食べれる?なんて言っていたけど、甘い香りに誘われて、パクリ、もうそれだけで、あとは無言で、かじりついていた。

ウインディにも、1個渡したら、同じ様にしていて、もう、顔中チョコレートだらけだ。二人とも、僕が「クリーン」できれいにしてやりながらも、全部、板チョコ一枚を食べきったよ。

帰り際には、アクアも付いてくるとか言い出したが、ウインディが絶対に駄目と押し留めていたので、結局、ウインディと二人で、旅の続きをするよ。

水魔法も面白かったな・・・

ウインディに、今度は、何を教えてくれる?って聞いた。

まあ、秘密、って返ってきただけ。



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