第二話:陰気同盟
みなさま、こんにちは! 神様からもらった転生特典が強すぎでどうすればいいか困ってる日々の私!
ふ、強すぎるのも難儀ね。
しかぁぁーし! 私はそれでも鍛錬を惜しまない!
ラストエンディングで私は魔王に攫われ、それはもう酷い目に合うと知っている! なので私は自室に隠れて電気もとい雷の操作を一瞬で使えるようにしているわ!
一度試しと思い、空に雷を飛ばしたら大爆発が起こってとんでもないことになったのは……わ、私のせいじゃないはずよ。
それからというもの、私はちっちゃな雷のコントロールを訓練をしている。
ただ……私が両手の人差し指を「ほわぁ! あちゃー!」ってやって遊んでいたら、それを侍女のリヌに生暖かい目で見られてしまい、恥ずかしい目に遭ったけど……。
「ん?」
ぽふんっと音を立てながら、私は尻もちをついた。
誰かにぶつかってしまったようね?
私は第六皇女よ! よくもぶつかりましたわね!
「おや、マリーじゃないか」
だ、第二皇子でした。
す、すみません、謝ります。変な語尾もやめるので処刑しないでください。
私が半泣きになっていると第二皇子が腰を曲げて私の頭を撫でる。
「悪いね。僕が気づいていれば」
や、優しい……。陰気臭い顔のくせに。
処刑しないでくださいと懇願しといて、謝られたら罵倒するとかこいつはふざけてるんだろうか?
第二皇子は半年前、十歳の記念誕生日パーティーをしてからよく会うようになったパトリックお兄様。普段から無口で陰気臭いところが、無性に前世の私と似ていたせいか親近感が湧き、よく部屋に邪魔して本を読んだりして居座ってるわ!
ただ、部屋に行くとよく視線を感じるから、サッと見返してもこちらを見てないし……気のせいなのかしら?
それとも自意識過剰?
話を戻すけど、第二皇子はザ・ファンタジーって感じの髪色! 第二皇妃ニノン様の子たちで、弟のアルと同じ青色の瞳に青色の髪。
ただ違うのはこっちは長髪で、すっごぉぉい陰気臭いところね!
じっと見られていると心の内まで見透かされてる気分になるから、私がパトリックお兄様と同じ陰気同盟じゃなきゃ、みんな近寄りがたいのもわからなくもない!
お話をするとじっと見てくるから頬っぺたを掴んでやめさせてるわ! 失礼だと思われるけど可愛い妹ですもの!
きっと私の愛の鞭を受け入れてくれてるはずだわ! だってまだ一度も拒否も怒られてないもの!
そ、そうですよね! お兄様?
お、おにいさま? なんか不安になってきたわ……。
第二皇子、パトリック・ド・パロメスの独白。
うちの六番目の妹、マリーは変わっていると思う。
十歳の誕生日記念会で僕と顔を合わせてから、侍女ですら僕に関わろうとしないのによく部屋に侵入してくる。
そんな僕は、兄と父上、母上しか知らない精霊様を通して、人の魔力と心の機敏を見ることができる。
マリーは第四皇妃マリヴォンヌ様と同じ黄金の魔力を有している。が、マリーは特に神様に祝福されているのかというほど魔力がすごく、周りには精霊がよく漂っていて、好かれているのがわかる。
僕はよく妹が謎な行動をしているのを侍女のリヌと目撃している。他の兄弟たちはマリーを目に入れても可愛いのか気づいていないみたいだ。
マリーがまだ幼い時に何度かじっと見ていると、マリーは恥ずかしがっているのかそれとも無自覚のなのか、僕の顔をギュッと掴んできて頬が腫れてからは、こっそり見るようにしてる。
たまにいたずらで堂々と心を覗き見すると、昔のように顔を力強く掴まなくなったが、代わりに僕の頬っぺたを軽く引っ張って、頬を膨らませて見つめてくる。その表情が可愛くて何度繰り返しても、やめられそうにない。
昔はよくこの能力でいろんな人を無表情で見ていたせいで敬遠されたが、妹のおかげで今ではあまり怖がられなくなったようだ。
ただ妹のアミラは相変わらず僕のことが苦手のようで、僕が近づくとウサギのように逃げ回る。
僕もマリーの影響からか、アミラを追いかけ回し涙目にして楽しんでいるのは秘密だ。
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