第28話

 僕たちは、壁に剣が飾ってある部屋へ移動した。


「やあ、今日は2人かい?」

「きゃん」

(ぼくもいるよ!)

「おや、失礼。君もいたね。」


 部屋には筋肉隆々のドワーフと白衣を着たボサボサ髪のお兄さんがいた。筋肉隆々のドワーフは剣を打っているが、白衣を着たお兄さんが出迎えてくれた。


「じゃあこっちへおいで。」


 わたしたちは右に台があり、両手の形に窪みがある丸い石の前へ案内される。


「右の台に剣をおいてね。」

「はい。」


 まずはアルが前に出て、右の台にさっき選んだ大剣を置く。


「次は、手の形の窪みに両手を置いてね。」

「はい。」


 アルが両手を手の形の窪みに手を置くと、窪みのある丸い石から、光が出てアルをスキャンするかのように上下に動いた。


「うん。大剣で間違いないね。そのまま君の潜在的な力を測るから動かないでね。」

「はい。」

「うんうん。なるほど。」


 白衣の人は、スキャンの様子をみながら、色々とメモを取る。


「はい。これ持って、あっちの強面のおじさんのところに行って。」

「はい。」


 アルがメモを受け取って、ドワーフの方に行く。


「さあ、次おいで。」

「お願いします。」


 リアが細身の剣を台に置き、両手を石にかざす。するとアルと同じように光がでてリアの体を上下に照らす。


「君は後衛タイプだけど、剣をするのかい?」

「はい。体力づくりと、いざというときようにと思いまして。」

「剣はもう少し軽めがいいね。」


 白衣の人はいろいろ言いながら、またメモを取っていく。


「うん。これでいいよ。君は剣は補助だね。君もあのおじさんのところに行こうか。」


 そう言って、白衣の人はリアを案内する。


「きゃん」

(僕も何か欲しい)


「ん?」

「テンは体が小さいからまだ無理だよって言われたでしょ。」

「きゅん」

「どうしたの?」

「この子も武器が欲しいみたいで。」

「きゃん!」

(なんかないですか?)

「うーん。あ、ちょっと待っててね」


 そういうと白衣のお兄さんは白衣のポケットをごそごそとして小さな瓶を取り出した。


「これを爪に塗るといいよ。丈夫な爪になるはずだよ。武器をつけたかったらまずは丈夫な爪にならないとね」

「きゃん!」

(うん!ありがとう)

「ありがとうございます。よかったね!テン。」


 僕は満足して、リアについてドワーフのおじさんのところに行く。

「おい。お前この大剣の前に、筋肉つけないとだめだろう!まずはこっちからだ。これで毎日訓練した後にこれを取りに来い。」

「ボガード、希望の剣を作ってやれよ。」

「お前もだ。今はまだ使えないやつを勧めるなよ。」

「いやー。久しぶりの大剣使い候補だから。」

「それはそうだが。物には順序があるんだからな。」

「ははは。ごめんなあ。このおじさんの言うことは聞いた方がいいぞ。」

「はーい。」

「小僧、その剣で無理なく動けるようになったら来い。」

「はい!」


「次はお嬢ちゃんか。お嬢ちゃんはできるだけ軽くだな。」

「はい。」

 ボガードと呼ばれたドワーフのおじさんはメモ通りに剣を調整し始める。

「ほい。できたぞ。」

「ありがとうございます。」


「ん?」

 リアに剣を渡して、僕を見たボガードさんは少し考えこむ。

「サイズは変わるのか?」

「いえ、まだです。」

「ほれ、これやるよ。うちの嫁が魔物つかいでな。その使い魔が昔使ってたやつだ。」

 そう言って、ボガードさんが僕用の兜と鎧をくれた。

「きゃん!」

(ありがとう)

「おう!いいってことよ。」


 訓練で使おう。


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