剣士の里

第21話

 馬車の横をレンさんと走りながら、僕は魔法を使う練習をする。

 風と雷の魔法は前よりも使いやすくなっているので、落ちてくる葉っぱを狙って風の刃を出す。


「きゃん!」

 シュパシュパ!


 1つ外した。もっと練習して命中力をあげないといけない。


「きゃん!」

 シュパシュパ!


「きゃん!」

 シュパシュパ!


「きゅう…」

 何回も繰り返してたら力が出なくなってきた。


「テン、大丈夫?疲れたなら休みなさい。」


 レンさんはそういうと、僕の首を咥えて、馬車の中にそっと入れた。


「あれ?テン、どうしたの?」

「きゅう」

 疲れちゃったみたい。


「そっか。それならこっちで一緒におやつ食べよう。」


 リアは手を伸ばして僕を抱っこすると、リアの膝に乗せてくれた。そして僕を撫でながら、ミルクを小さい器に入れて飲ませてくれる。


 栄養って大事だよね。たくさん食べてはやく大きくなるんだ。


 ミルクを飲んだ後の僕は少し眠っていたようだ。目が覚めるとみんな野営の準備をしていた。


「あ、テン、起きた?」

「きゃん」

 うん。寝過ぎちゃった。


「ご飯今からだから大丈夫だよ。」


 そう言ってリアは僕の晩御飯の準備をしてくれた。


「はい、テンご飯だよ。」

「きゃん!」

 ガブガブガブ


 今日もミルクが美味しい!幸せだ!


「テン、こっちにいらっしゃい。」


 食べ終わったら、レンさんがいつものように顔を舐めてくれる。レンさんはお母さんみたいだ。


「ありがとう。」


 食休みがすんだら、レンさんと訓練をする。

 剣士の里で訓練に参加することを考えて今日からは体術だ。レンさんが魔法で出してくれた水を素早く避ける。


「ウォン!」

 ぴょん!


「ウォン!」

 ぴょん!ぴょん!


 回数を経るごとに水の球の数が増えて行く。僕が濡れたらゲームオーバーだ。僕は必死で避ける。右、左、右、右……


 パシャン!


 あ、濡れちゃった。


 やっぱり球の数が増えてくると難しい。


「きゃん!」

 もう一度お願いします!


 右、左、右、右、僕の訓練は、夜が更けるまで続いた。


 ヘロヘロになってみんなが野営しているところへ帰る。


「あ、テン!びしょびしょじゃない。」

 リアがタオルを持って駆け寄ってくる。


「きゅう…」


「もう、無理しないでね。」

「きゃん」

 早く、リアを守れるぐらい強くなるんだ…


 うとうとし始めた僕を温かい風が包んでくれる。リアがリアのお母さんに頼んでくれたのかな。明日も頑張ろう。

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