第13話

「テン!行くよ!」

「きゃん!」


 食後の運動に軽くジョギングしていたら、おでかけの時間だった。

 今日は学園を見に行く。どんなとこなんだろう。


「テン、おいで」

「きゃん」


 リアに呼ばれて近寄ると、抱き上げられた。太陽の下にいたので毛皮は干されてふわふわですよー。


 もふもふされながら出発だ。宿を出て学園の前に着くと、リアのお母さんが門衛さんに話しかけている。


「見学希望です。」

「魔法使いの洗礼はお済みですか?」

「いえ。まだです。」

「保護者の方で卒業生はいらっしゃいますか?」

「私です。」

「バングルをお見せください。」

「はい。」


 お母さんはバングルを何かにかざしている。


「ペットは歩かさないようにしてくださいね。」

「きゅう」

 使い魔なんですけど…


 リアが僕をウェストポーチにいれる。


「どうぞ、お入りください。」


 ギギギと音を立てて、小さいほうのの扉が開いた。




 目の前に広がる広場の向こうには遠くから見た建物がある。建物に近づき下から見上げる。今は授業中のようだ。建物の中に入り、廊下を歩く。授業をしている教室の前で立ち止まる。廊下から自由に見学できるクラスもあるらしい。


 一人一人、丸い壺?窯?のようなものに素材を入れ、魔力を通している。


 ポンっ!

 音がした方を見ると煙が出ていた。失敗したらしい。


 成功した人は中から魔道具らしきものを取り出している。

 たまに入れ物の大きさに合わないものをとりだしているのが不思議だ。


「ここは魔道具作成クラスね。」

「そうなんだ。」

「このクラスを修了すると、魔道具師の資格が取れるのよ。」

「材料は何?」

「あれはダンジョンで取れる素材よ。ダンジョンの受付で変えるけど、自力でダンジョンに行って取る人もいるわよ。」

「そうなんだ。」

 お母さんがリアとアルに説明している。


「きゃん」

 リア、リアのために僕がとってきてあげる!


「テン!」


 リアが僕をウェストポーチ越しにぎゅっと抱きしめた。ぐぇっ。


「魔法使いは冒険者資格を持ってる人が多いの?」

 アルが聞いた。

「魔法使い全体では少ないかもだけど、この学園に通っている子は冒険者の資格を持ってる子は多いわよ。」


 そうなのか。冒険者楽しそうだな。リアと一緒にダンジョンを巡るのもいいかもしれない。



「さあ、次へ行きましょう。」



 次は3階まで吹き抜けの教室だ。床はふかふかの素材でできている。

 なんだろうと思って、首を伸ばして覗き込むと上の方に人が浮いていた。1人で浮いている人もいれば、箒や絨毯に乗って浮いてる人もいる。

 僕も飛べるかな??リアを乗せて飛んだら喜んでくれるかな?


「ここは飛行クラスよ。」

「すげー!俺も飛びたい!」

「飛ぶには、魔法使いの洗礼を受けて、飛行魔法の祠へ行かなきゃよ。」

「えー!」

「そして、仕事で使うにはここで研修してからじゃないと使えないの。」

「飛ぶのって大変なんだ。」

「そうね。安全とは言い切れないからね。」


 と言ったそばから1人が落下した。


 墜落する寸前に勢いがなくなり、ゆっくりと下に落ちた。


「怖っ」

「魔道具には墜落する寸前に風船が出るものもあるわよ。」

「それなら安全?」

「まあ、怪我はしないわね。」


 魔道具って便利なんだな。

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