第8話
僕はリアが斜めにかけてくれるウェストポーチに入り、里を歩く。
前の街とは違い、お土産物屋さんや屋台などはない。
点々とある家や、裏手にある農地、あとは真ん中に五角形の面が一際たくさんついた建物があった。
きっとここに偉い人が住んでいるんだろうな。
リアのお母さんは、ひたすら写真を撮り、メモをしている。
静かな里を歩いていくと、奥には塔が建っていた。特別な技を習得するための祠だそうだ。
村にいる子どもたちは、結界をつくる練習や、破壊する練習をしている。
僕たち、いや、特に僕を連れているリアは珍しいみたいで練習の手を止めてこっちを見ていた。
一番奥まで行って、引き返す。
さっきの中心の建物を通りかかるとアルが出てきた。
「あ、アルー!」
アルを見つけてリアが呼ぶ。
「おう!」
アルがこっちに走ってきた。
「アル、どうだった?」
「今日は申し込みをして、洗礼は明日だよ。」
「そうなんだ。中に何があるの?」
「広い入り口があって、真ん中ぐらいから奥に階段があって登れるようになってた。明日はそこに登るんだってさ。」
「そうなんだ。わたしの洗礼と同じ感じかなー?」
「そう言えば、リアの洗礼は何したんだ?」
「わたし?魔物つかいの里の中心にある建物の奥の部屋で、大きな石に手をつけただけだよ。そうしたら、石が光ったの。そこにいたおじいさんに、これで魔物つかいのスキルが手に入りました。って言われたの。」
「簡単なんだな。」
「うん。それだけ?ってなった。そのあと、魔物村に行って、テンに出会ったの。テンに出会った時にこの子だって思って触ったら、契約できてたみたい。」
僕もそんな感じだったよ。一緒に行くって決めたら、契約できたみたいな。
「その契約の仕方、よくわかんないな。」
「お父さんに聞いたんだけど、みんなそんな感じなんだって。」
「誰も深く考えないのか。」
「まあ、テンに出会えたからそれでいいと思うの。」
「きゃん」
僕もそう思う。
「今までの魔物つかいみんなそうなんじゃないか?」
「あはは。私もそう思う。結界師はどんなのなのかな?明日教えてね。」
「おう。」
泊まっている家に着いた。ご飯のいい匂いがする。
「テンのご飯の用意しなくちゃ」
リアが僕を床に下ろして、台所に向かった。
「テン、おかえりなさい」
「レンさん、ただいま」
「ご飯までお庭で訓練しましょう。」
「今日はジャンプの訓練よ。」
「はい。」
僕たちは庭に行った。
お庭にはロープが張られていて、そのロープを飛び越える練習をした。
「テン、レン、ご飯だよー!」
「あら、ご飯ね。今日はこれくらいにしましょう。」
「うん!」
「テンー!、レンー!、」
「きゃん」「ウォン」
今行く!
僕はリアのいるところへ走った。
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