第5話
朝になった。
「テン、おはよう。」
「きゃん」
リアが寝ぼけ眼で挨拶してくれる。僕が挨拶すると、僕の毛をふわふわと触ってくる。もしかして毛並みが気に入ってパートナーにしたのかな?
リアにもふもふと触られながら、台所へ向かう。昨晩と同じくご飯を作ってくれるようだ。
「テン、よく眠れた?」
「うん!」
レンさんが僕の顔をまた舐めてくれる。
「テン、レン、ご飯だよ。」
リアが呼んでる。行かなくちゃ!僕はリアの方に走った。
ミルクが美味しい鼻と口の周りがすっかり濡れてしまうけど、気にしない!ガボガボと音を立てて飲み終わった。
もうなくなっちゃった。でもお腹いっぱい。お腹が重いなー。
ふらふらとリアの方に行こうと思ったら、
「テン、ちょっとおいで」
レンさんに呼ばれた。
「はーい」
レンさんの方に行くと
ペロン。
顔を舐めてくれる。
「はい。綺麗になった。いっていいわよ。」
「レンさんありがとう。」
顔がすっきりした。
家中のみんながバタバタしている。
「レンさん、みんな忙しそうだね。」
「今日からまた旅に出るからよ。」
「旅?どうして?」
「人間の子どもはスキルの洗礼を受けないといけないの。」
「リアはもう魔物つかいになったよ?」
「リアは魔法使いの洗礼も受けることになっているのよ。」
「2つも受けれるの?」
「二つ目のスキルが取れるかは実験らしいわ。リアは魔物つかいと魔法使いだと魔物つかいになりたかったの。だから先に魔物つかいを優先したの。」
「そうなんだ。嬉しいな。」
「わたしも嬉しいわ。」
「じゃあ今から魔法使いの里に行くの?」
「その前に、もう1人男の子がいるでしょ?あの子、アルというんだけど、結界師の洗礼を受けに行くの。」
「そうなんだ。いろんな場所に行けるみたいで嬉しい。」
「ふふふ。その合間にわたしと訓練しましょうね。」
「うん!」
僕はリアのパートナーとして立派な使い魔になるんだ!
「テン、行くよー!」
「きゃん!」
リアたちの準備ができたようだ。大きな幌馬車があって、リアとレンさんと僕とリアのお母さんとアルという男の子が乗り込んだ。レンさんが座り、リアがレンさんにもたれた。僕はリアに抱かれている。
ガタガタと音を立てて馬車が揺れ、出発した。
まずは結界師の里だ。どんなところかな。楽しみだなあ。
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