第565話千茶、逝く

5月の17日にあなたの訃報に接しました。3週間の名古屋滞在で回復に向かっていたのに、本当に残念です。私は、千茶先生に初めて文章を読んでもらった事を鮮明に覚えています。

千茶だ!あの、ブリュヴェールが私の作品を読んでいる。

重大な事に、千茶先生が私の作品を読んでいる事にアガルことすら出来ませんでした。

アナルが亡くなったとき、目からはぼろぼろと涙を流し、

「この野郎、逝きやがった!」

と、アナルの額をピシャリと叩いては、涙を流していました。

千茶先生は全てがギャグでした。千茶先生の存在は、重い意味の世界から解き放たれて、時間の前後関係は断たれ、その時その場が異様に明るくなるのです。

この会場の少し高いところで、先生は胡座をかき、肘をつき、

「お前は喜劇作家なら、弔辞で笑わせて見ろ!」

と、言っているに違いありません。

私は生前、千茶先生にお礼を言った事がありません。

今夜は、言わせて下さい。

先生、お世話になりました。ありがとうございました。

私もあなたの作品の中の1つです。

令和5年5月18日

羽弦トリス。

合掌。


な~んてね。千茶!怒るなよ!


本日の読み切り、エッセイこれまで!

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