8.家計簿クエストⅠ ~主婦がつぶやく「今月も赤字だわ」の謎~

 

◆ミナァート王国・中央通りにある商人ユウジの店

 店奥にある商人ユウジ宅の居間ダイニング――


女勇者タカコ「はぁー…お金が欲しい」

男商人ユウジ「こらこら、のっけから女勇者ヒロイン小汚こぎたない発言するなよ……」

女勇者「あう。そうでしたね……この物語さくひんの人気は、女勇者わたし女子力みりょく

    懸かってますからね♪」

男商人「寝言は寝てから言いなさい。ほら、晩飯ができたぞ」

女勇者「わーい、軍隊蟹シーフードカレーですね♪ いただきま~す♪(もぐもぐ)」

男商人「やっぱり金曜はカレーだな(使命感)。ところでさっきの台詞セリフ

    だけど、女勇者タカ冒険業しごとも安定してきた事だし、そんなに生活おかね

    には困ってないと思ってたけどな?」

女勇者「そうですね、たしかに生活それは問題ないです。実はこの前、女戦士アツコ

    さん達に「冒険業は収入が不安定だから、ちゃんと貯金しなよ」

    と勧められたので、そろそろ女勇者わたしも「貯金」を始めようかと

    思いまして!(もぐもぐ)」

男商人「なるほどね。それは良い心がけだな」

女勇者「ところが全然、お金が残らないんですよねぇ……。こうやって

    食費を節約してるのに(もぐもぐ)」

男商人「ひとの作った晩飯を食べながら「食費の節約」を語るとは素晴ら

    しい女子力みりょくだな……」



男商人ユウジ「ん、ちょっと待てよ? もしかして女勇者タカは『生活費の残りが

    貯金』だと思ってるのか?」

女勇者タカコ「え、貯金ってそういうものですよね?」

男商人「いやいや違うぞ。よくある勘違いだけどな……つまり女勇者タカ

    『収入から生活費が差し引かれて、残ったお金が貯金になる』

    って考えだろ?」

女勇者「うんうん」

男商人「でも本当は『|収入から貯金を差し引いて、残ったお金を生活費

    にする』のが、正しい貯金の方法やりかただぞ」


女勇者タカの場合 『収入-生活費=貯金』

男商人ユウジの場合 『収入-貯金=生活費』 ←こちらがオススメ!



女勇者「んぅ、えっと、どういう意味ですか?」

男商人「うむ。例えば、女勇者タカ日本あっちにいた頃にTV番組アニメとかで――お

    魚くわえたドラ猫を裸足はだしで追いかける海産物ファミリーの主婦

    や、青い猫型ロボットの居候先にいる0点の答案テストを探すのが趣

    味の主婦ママが、家計簿をつけながら「今月も赤字だわ…」とつぶ

    やく場面シーンに、見覚えはないか?」

女勇者「あぁ~それは見覚えありますよ! 昔から不思議だったんです

    よねぇ……借金だらけなのに楽観的のんきだなって。銀行とかにお金

    を借りてるのかな?」

男商人「そんな世知辛せちがら家族向けファミリー番組があってたまるか! あれは『あ

    らかじめ、収入(給料)から貯蓄分としてお金を先取り(貯金)

    してある』んだよ。で、残りのお金(生活費)だけで生活する

    つもりが、お金が足りなくなって貯金を取り崩して使っちゃう

    から「赤字」だと言っているのさ」

女勇者「え、えぇー!? あの「今月も赤字だわ…」という台詞セリフには、

    そういう意味があったんですか!?」

男商人「おう。なので……現金も貯金も無くて、金融機関から借金する

    「赤字」とは、意味が全然違うんだよ」

女勇者「ぜ、全然知りませんでした……女勇者はかしこさが3あがった!」

男商人「てれれれってってって~ん」


男商人ユウジ「この「先取り貯蓄」の素晴らしい点は――自然と正しい節約の

    方法やりかたを学べるところだな」

女勇者タカ「正しい節約の方法やりかた、ですか?」

男商人「うむ。今までの女勇者タカだったら『生活費を節約した分が貯金に

    なる』と考えて、食費などを一生懸命がむしゃら節約がまんしてただろ?

    (例:外食をやめて1000Gのゴールド節約、

       買い食いをやめて500Gのゴールド節約、等々…)

    しかし、それだと『節約がまん目標おわり』が見えないから不満ストレスが溜まって

    長続きしないことが多い」

女勇者「あう、そうかもですね……」

男商人「ところが先に収入から「先取り貯蓄」をした場合――『残りの

    お金(生活費)で生活やりくりする』という節約の目標ゴールができるわけだ。

    (例:月収20万Gゴールドのうち、3万Gゴールドを先に貯金して、

       残りの17万Gゴールド生活やりくりする!とか…)

    言いかえれば、生活費を「予算枠トータル」で考えられるわけだな」

女勇者「なるほど……ダイエットと同じですね。1日の摂取カロリーを

    決めておいて、昼食でカロリーオーバーしたら夕食で調整すれ

    ばOKみたいな?」

男商人「うむ、その通りだ。これなら『買い物の自由度が上がる』ので

    たまには美味しいものが食べられるだろ? 不満ストレスが溜まりづら

    いから、節約も長続きするわけだよ。正しい節約とは「我慢がまん

    ではなく、「やりくり」にある!」


女勇者「はぁ~なるほど、収入から貯金分を先取りして、残ったお金を

    生活費にして頑張るやりくり――これって、すごく単純カンタンなことのように

    感じますけど、実はものすごい発想アイディアですよね!(感動)

    女勇者わたしは今、家計簿の「真理の扉」を垣間見ましたよ!」

男商人「その扉は閉じとけ、題名タイトルが「鋼のはがね 女勇者」になってしまう」

女勇者「通行料は経費になりますかね?」

男商人「自腹でどうぞ」



<次回につづく…!>



◆おまけ◆


女勇者タカ「だけど、TV番組アニメの主婦達が、特に何の説明もなしに「先取り

    貯蓄」に関する台詞セリフを喋るとか……ひょっとして、世間一般で

    は「常識あたりまえ」なんですかね?」

男商人ユウジ「どうだろうな。日本は、読み書きなどの「学問教育」や仕事に

    関する「職業教育」は整備されているけど、お金について学ぶ

    「金銭・金融教育」は疎かおろそ になりがちだからなぁ……。だけど、

    女勇者タカも子供の頃に「お小遣い帳をつけなさい」って親から言

    われなかったか?」

女勇者「あぁ~懐かしいですね。大事に使いなさいってよく言われました」

男商人「お小遣いは、家庭でできる「金銭教育」の代表格だな。家事を

    手伝ってお小遣いを貰う「お金と労働の関係」、買い物をする

    「経済参加」、欲しいもののために貯める「お金の管理」など

    たくさんのことを学べる。しかし、子供のお小遣いで「先取り

    貯蓄」まで教えるのは……ちょっと難しいかもな?」

女勇者「あはは、たしかにそうですね」

男商人「俺の場合は――日本あっちで会社に就職した際に、人事部の先輩から

    「銀行口座がふたつあれば、給料の振込先を分けるよ」と言わ

    れたんだ。理由を聞いたら「片方は生活費用、もう片方は貯金

    用にすると良い」と教えてもらった。これが俺の「先取り貯蓄」

    を知ったきっかけだね。ほとんどの人は働き始めてから「先取

    り貯蓄」を知るんだと思うよ?」

女勇者「なるほど。それじゃあ、逆にTV番組アニメや、この作品わたしたちが「先取り

    貯蓄」を知るきっかけになれたら嬉しいですね!(お気に入り

    登録よろしくお願いします♪)」

男商人「おい女勇者タカ、心の声()で台無しだぞ」


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