惚れっぽいコタロー

TiLA

コンビニで惚れた!

 俺の名前はコタロー。自慢じゃないが結構イケてる男だ。

 ……と思う。

 でもなぜか年齢イコール彼女いない歴である。


 べ、別に気にしてなんかないんだからね!


 男兄弟しかおらず、中学は部活に明け暮れ、工業高校、大学の工学部という女性と接点のない人生をひたすら歩んできたため免疫が、い、いや出逢いがなかっただけだ。


 でもまぁ、いずれ俺にも可愛い子が言いよってくるに違いない。

 今日も歩きすがらコンビニのガラスに映る自分の姿に目をやる。


 ふぅ……カッコいい。


 俺は迷わずそのままコンビニに入ると飲み物コーナーからジャスミンティーのペットボトルを取りレジで清算を済ませた。


「ありがとうございました〜」


 おぉっと、なかなか可愛い店員さんじゃないか。お釣りをもらう時に手が触れちゃったりしたらどうしよう? ま、まぁ、最近はトレイに置くだけってのもあるしな、うん。過度な期待は禁物っと……?


「お釣りです。落とさないようにお気をつけくださいね」


 な、なに〜! お釣りを渡す手と逆の手をお釣りを受け取る俺の手の下に添えて握るように渡すだとぅ⁉︎  お、おま、お前こんなん、


『惚れてまうやろーー!』


 何という恐ろしい女だ。一瞬にしてこの俺様のハートを盗んでしまうとは。もう恥ずかしくて目が合わせられん。とっとと出よう。


「あ? お客様! お待ちください!」


 え? 何? お客様って僕のことですか? え? 連絡先とか聞かれちゃうの? あ? それよりまずは名前からだよね? え、えっと、とりあえずお友達からで良いですか⁉︎


「レシートお忘れですよ」




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