変わりゆく風景 お祭り

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 大人になった私は、お祭りの屋台で金魚すくいをみつけると「かわいそうだな」って、そう思うようになった。


 それはいつごろからだろう。


 小さい頃は「楽しそう」と思うばかりだった。


 なのに、大きくなってみると、あんなにもキラキラ輝いていた思い出が、そうは見えなくなってくる。


 お祭りに屋台に限ったことじゃない。


 普段はシャッターの多い、寂れた商店街とかも。


 こんな時だけ、あいてるのを見て「普段はどうしてるんだろう」「つぶれちゃったりしないかな」と思ってしまう。


 屋台ではしゃいだ声を上げる子供たちを、綿菓子みかぶりついて笑みを浮かべたり、仮面をつけてなりきってる子供を見ると、とても寂しくなる。


 あの頃の、何の裏も事情も知らなかった頃には、もう戻れないのだなと。


「そこの人、金魚すくいやってかないかい!?」


 私は屋台の人の威勢のいい声に、愛想笑いを返してその場をさった。


 子供のころすくった金魚は、もともとよわっていたのかもしれないけれど、三日も生きられなかったから。


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変わりゆく風景 お祭り 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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