第14話 私の仕事
「いやー、ひとまずこれで一区切り。疲れた!」
「お疲れ。結構うまくできてたんじゃない?」
私は一通りの面接が終わった後、すぐに部屋に戻ってふかふかなベッドへとダイブした。
たくさんの人が応募してくれたのは非常にうれしいのだが、いくらなんでも多すぎる。さすがに1人であの数を裁くのは厳しかった。
しかも一応私はこの後も仕事が残っているのだ。もう本当に国王って忙しい!!しかもその仕事内容が面接に落ちた腹いせに町を荒らそうとしてくる輩を片っ端から始末するという内容。
いや実力とかそういう問題だから八つ当たりするなよ!
私の国では町を荒らす行為は重罪だ。それが故意ではなかったのであれば許されるが、故意であった場合はその場で殺されても一切の文句は言えない。言わせない。
私の国で悪さをするような奴に一切の手加減はしない。一生後悔させてやる。
明日は朝早い。いつもより数時間も早く、私は眠りについた。
翌日、まだ太陽も深い眠りについている頃、私はこの国の治安を守るために出動した。
町の宿屋の人に前々から協力を要請し、悪さを働くような人がいたらメモをしておいてほしいということを伝えてあったのだ。
すぐに私は町の宿屋に向かった。
馬車は基本的に朝出発する。
ここへ面接に来た人たちはこの朝の馬車で帰るため、今日は宿屋で宿泊をしているだろう。
ということは、悪さをした人も静かにこの国の宿ですやすやしているわけだ。
宿屋の店主に悪さをしたやつが寝ている部屋に案内してもらって私は国王としての責任を果たした。
王都にある宿屋すべてを回ったころには太陽が顔を出し始めるか否かといった時間帯だった。
ひとまず間に合ってよかった。
先ほども言ったが、私はこの国で悪さを働くような奴に容赦はしない。これはこの国が作られ、国王になったときに私がした覚悟だ。
私は国王としてこの国に住むすべての人の幸せを保証する。
その幸せを壊そうとしてくるやつに情けをかける気はない。
初めて人を殺めた。
さすがに全員を殺したわけではないが、あまりにも人道に反する行為をしたものを殺めた。
やりすぎだという人も多いだろう。しかし、これは必要なことだと思っている。
暴君だなんだといわれても、私は否定することなくその言葉を受け止めよう。自分勝手だとしても、私はこの国に住む大事な家族、仲間たちを救っていきたいと思っている。
それが私の仕事。この国を守っていくためには、私は汚れ仕事だって幾らでもこなそう。覚悟はできているのだ。
でもいつまでもこんなことをしていたら本当に私は極悪非道な王様になってしまう。恐怖政治は国が発展していく上での弊害になり得るのだ。
私1人に権力が集中してしまうのは避けたいと思っている。
せっかく憲法を作ったのだ。今の仕事が終わったら裁判所でも作ろうじゃないか。
面接が終わってから1週間が経過し、今日は実技試験の日だ。
実際にどの程度の能力があるのかを私の目、そして神様の目で見極める。
おっと、その前に、1週間この王都で過ごしてもらったが、その間にこの国の治安を乱すような行為をしたものは即刻ご帰国頂いた。
まだあまりよろしくない性格の方はいらっしゃるかもしれないけど、それは最終面接で判断する。
今は実技試験に集中だ。
実技試験では主に、私の作ったテストを受けてもらう。
この1週間、私は仕事の合間を縫ってそれぞれの特技にあったテストを作成していた。そのテストの結果を受けて実力を判断する。
騎士志望の人たちは明日私がその剣技や魔法を実際に見て採用を決めるので、今日はとりあえずお休みだ。また明日。
こうしてテストが始まった。
私は正直勉強が得意ではなかった。そんな私が作るのでなかなかに簡単なテストだと思う。
しかし、この世界の学問の発達具合を見ると非常に難しいところも多いと思う。専門的な知識を持っているのであれば、ある程度は簡単に解くことができるだろう。
テストの内容は、例えばこの前のお金がなかった少女。あの経理が一通りできる子だね。
あの子には掛け算を始めとする計算や、税を求める問題、そして今までやって来たことを短く文章にまとめてもらった。
このほかにも問題はあるのだが、まあこんな感じの問題だということだ。
しかし、どの受験者も『今までやって来たことを短く文章にまとめる。』という問題は共通だ。
これは、どのような過程を経て今の知識や能力が身についたかというのを見たいから。これの回答によってどのような仕事を任せるのかを決めていく予定なのだ。
たくさんいる受験者、それぞれに合わせた問題を作るのは大変だったけど、それはこの国をしっかりと運営していく上で必要なことだ。
こんなことで草臥れてしまっては王としてやっていけない。もっと頑張っていかないと。
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