第13話 面接
私面接って結構嫌いで、服装自由だとかそういうやつ。なんか察しろみたいなやつが本当に嫌いだった。スーツ着てほしいなら服装自由って書くなよって思うし、本当のこと言って的外れだったら普通に落とすでしょ?
後者のほうはまあ面接は言ってしまえば人選なわけなのでしょうがないとは思うが、前者はひどいだろう。
でもこの世界にはスーツとかいう概念が存在しないのでいいね。
面接が始まった。
面接は1回の中でも3回のフェーズに分かれて行うことにしており、第1フェーズはありきたりな質問を投げかけていく。そして、その中でも嘘やあまりにも酷い回答があった場合はそのまま失格としてご帰宅いただく。
次の第2フェーズはその人の実力がどのくらいの物なのかを見極めていくフェーズだ。いくら正直でも実力が伴っていなかったら採用することはできない。
そして最後に第3フェーズでは主に性格を確認していく。これは性格に難があって、私ではまとめることができないと判断した人を落としたり、合わなそうな人たちを別の部署に配属したりするためだ。
部署内の空気が最悪だったら士気も上がらないし効率だって下がっていくものだ。このような判断をしっかりすることが面接官の役目だろう。
「では志望動機をお願いします。」
「はい!4人の国王陛下に認められ、国を円滑に運営していくための努力を惜しまない陛下の姿にあこがれ、ぜひ陛下の元で働きたいと思ったからです!!」
「はい。ありがとうございました。」
(神?これはどうだ?)
(うん、真っ赤な嘘だね。1ナノメートルもそんなこと思ってはいないよ。)
嘘をついたものは落とす、これは私の面接においては絶対だ。
すでに落とすことが確定だったが、一応その後テンプレートの質問をいくつか投げかけてみた。しかし、ほとんどが嘘の返答。最後に自己アピールの時間を取った後に退出してもらうことにした。
「では、これにて面接は終わりです。ありがとうございました。」
「待ってください!最後に私の特技を見てください!」
「はい、そのようなことは先ほどの自己アピールの時間に行うものです。すでに面接は終了しておりますので素早く退出してください。」
「待ってください!陛下!!」
面接において自身の持ち時間は面接官から与えられる時間のみだ。その与えられた時間内でどう自分をアピールするのが大切なわけで、このような手口を用いられて自分をPRされるのは正直言って不愉快だった。
後ろ詰まってるんだ!早く出てってくれ!!
面接に来た大半の人が嘘をついたりこのように持ち時間以外でも自分をPRしようとするような人たちだった。この世界でもこういうテンプレートって存在するんだな。
あ、あとこんな人もいたな。
「では志望動機をお願いします。」
パサァッ(髪をなびかせる。)
「私はオースガーン王国、メルト伯爵家が3男、メルト・フォン・カルトレインだ!そなたの美しきそのお姿に惚れ込み、婚姻を申し込むためにここに来た!」
「はい。ここは婚活の会場ではないので速やかにお引き取りください。」
「え、ちょ!待ってください!私のこの美貌が目に入らないのですか!陛下!!」
やばいでしょ?
しかもこんな感じの人がほかにも何人かいたのがやばいところ。
実は私の元には様々な国の貴族からお見合いの申し込みが届いているのだ。そりゃ新しい国の国王でしかもまだ誰も婚約者がいない。私と結婚してこの国の政治に入り込みたい家はいくらも存在するのだ。
まあ私はこんな感じの政略結婚はする気はないのでいくら送っても無駄だ。私は普通に恋愛結婚をしたい。いやするのだ!!
(恋愛?できるの?)
うるさぁぁぁああい!!!!!
前者後者含めてそのような人たちはもちろんいくら優秀な人でも落とすわけで、結局面接試験を突破したのは100分の1とごくわずかであった。
「では志望動機をお願いします。」
「お金がなかったからです!」
実際にあった発言の1つなのだが、正直こっちのほうが私としてはいい。
この者は面接試験を突破している。しかもなかなか優秀な人材で、経理が一通りできる。もともと大きな商会の跡取りだったようで、その商会が別のもっと大きな商会によって潰されて路頭に迷っていたところでこの募集を見つけたようだ。
性格に関しても結構正直に言ってしまうところはあるが、相手が国王だからとして物怖じせずにバスッと言ってくれる人材は極めて重要だし、話を聞く限りは社交的で極めて魅力的な人材だった。
神様からも高評価で、この人は雇おうと思う。
他にも様々な人材が集まっていて、面接を勝ち上がった人たちは雇いたい人たちが多い。
さすがに王城では仕事がないので面接落ちとしたが、大道芸人が来たりと終わってみては非常に面白い2日間となった。
ここで勝ち上がった人たちは1週間この王都で過ごしてもらい、最終面接、及び実技試験を行って採用かどうかを決める予定だ。
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