自分が犯罪者という悪夢
茜
第1話
『山手線の車内で女子大生にわいせつな行為をしたとしてピンクスーツの女装で都議会議員の有栖川玲音容疑者が逮捕されました。警視庁の取調べに対し、「てか私が変態だと言う証拠はよ。」
と容疑を否認しています。』
「………….え?」
私は一瞬、自分の目を疑った。
テレビ画面に映っているのは間違いなく私だった。しかも、ニュースでは私のことを犯罪者のように報道している。
頭が真っ白になった。何も考えられない。
すると突然、部屋のドアが開き、誰かが入ってきた。
「姉ちゃん、大丈夫? さっきから全然出てこないけど。」
弟の竜太郎だった。
「あ、ああ。うん、大丈夫だよ。」
なんとか返事をするも、声が震える。
そんな私の様子を不審に思ったのか、竜太郎は部屋を見渡すと、何かを見つけたように眉間にシワを寄せた。
そして、ゆっくりとその方向に顔を向ける。そこには―――。
「なんでこれがこんなところにあるんだろうね?」
そこには、私が先程まで見ていたスマホがあった。画面には、SNSアプリ、トゥイーターが立ち上がっており、先程のツイートが表示されていた。
「こ、これは、違うんだよ!」
慌てて言い訳しようとするも、うまく言葉にならない。すると竜太郎が口を開いた。
「姉ちゃん、何が違うの? まさかとは思うけど、これって姉ちゃんじゃないよね?」
竜太郎の言葉にハッとする。
そうだ。よく考えれば弟にはアリバイがあるじゃないか!
「ち、違うよ! この人、私のフォロワーさんだし!」
必死になって弁明する。
しかし、それは逆効果だったようだ。
自分が犯罪者という悪夢 茜 @Tsubaki525525
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