自由恋愛

連喜

第1話 発達障害の恋愛

 俺は50年も生きて来て、彼女がいたことがない。童貞じゃなくても、そろそろ魔法が使えてもいいんじゃないかと思っている。


 例えば、こういう本を読んだことがある。その男性は、長い間、童貞のまま恋人できなかったそうだが、途中の過程で、A子と出会って、人間は顔じゃないということを学んだとか、B子と出会って本音でぶつかることの大切さを知った等と書いてある。こうやって、他人との出会いによって、成長して行くのがの人だ。


 俺は成長しない。発達障害だと人からいい影響を受けることがない。いじめやパワハラに遭ったりして、ストレスで精神を歪められることはあっても、人から学ぶということは多分ない。


 だから、人生を振り返って、この人に出会って俺は変わったという相手はいない。もちろん、いい人だったと思う人はたくさんいる。年とともに、失敗を通じて、自分をどう見せるか、どういう口の利き方をして、どのように振舞うかという知恵はついてくる。しかし、内面まで変わっているわけではない。


 コロナ前までは毎週女性と会っていて、毎週出掛けていたが、今まで彼女というものがいたことがない。ほぼ全員が友達以上、恋人未満だった。その中に、超金持ちのお嬢様がいて、一度だけプロポーズしたが、その人には断られた。理由は俺の社会的地位と年収が足りないということだった。


 俺は女性に不自由したことはない。例えば、女性と一緒に食事に行って2-3時間喋って、ホテルに誘うことはできる。しかし、その人の人柄や内面を知りたいという願望がないから、それ以上、踏み込むことは考えないし、俺も特に自分を知ってもらいたいとは思わない。そもそも、俺は女性の話に興味がないし、相手に合わせる気もないから、女性と長続きしない。女性から去られるタイプだ。


 例えば、こういう話がある。女性が男を部屋に呼んで、一つのベッドに寝ていてた。当然、男が触ろうとしたら「私、付き合ってない人とはできない」と言われた。その男は、「じゃあ、お互いのことをもっと知ってから」と言って、その日は諦めた。


 俺だったら、何だこの女と思う。自分で男を部屋に呼んで泊めてるのに、付き合ってないから・・・なんて言うようだったらもう会わない。馬鹿馬鹿しくて付き合いきれない。俺が軽いからとか、ヤリモクだからではなく、そんな内容のない時間を過ごす意味がわからないからだ。女性の意味のわからない気の回し方や思考回路に俺はついていけない。

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