第15話  帰り

「今日はありがとう、楽しかったよ。」

電車から降りる翔君は言う。

翔君はここの駅、私は次の駅で降りるです。

「私も楽しかったー。」

「あの、・・・また一緒にどこか行ってくれる?」

「もちろんっ。」

次回の予定も誘ってくれるなんて嬉しいです‼︎

これは、またすぐにデートに

行けちゃいそうな予感がするです。

でも、明日は予定があるって言ったです。

菜歩と作戦会議をする必要があったですから。

「あっ、もうすぐ出発するみたい。あのさ、

 ………暗いし家まで送ろっか?」

「えっ。んーと、大丈夫。すぐ近くだから。」

少しもったいないですが、

菜歩のことだからきっと玄関前で待っているです。

もし、ドアを開けた時に菜歩の姿を見られたら

全てが水の泡です。ここは我慢するです。

「そっか、じゃあ気を付けてね。バイバイ。」

「うん、さよならです『プシュー』

ハッ、私今さよなら“です”って言ったです?!

あーあ、最後の最後に言ってしまったです。

電車の音がかき消してくれた事を祈るです。

ですが、2回も言ってしまったらバレてしまっても

おかしくはないです。

やっぱり、電車の音がかき消してくれた事を

祈るしかないです。

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