第14話  待ち合わせ

やってみたいことがあるので、

駅内で少し時間を過ぎさせてから

待ち合わせ場所に向かうです。

1分後、

2分後、

3分……んんー、もう待ち遠しいです。

ちょっとだけ覗くです。

い、居るです。

今の時間は、し、

7分前。

まだまだです。少し過ぎなければ

いけないのです……。

むむむー

これは言い訳ですが、

し、仕方ないので、スマホをいじる

カッコいい姿を観察して時間を待つです!


ドキドキ。心臓がとまらないです。

あと10秒で1分、集合時間から過ぎるです。

も、もう待てないです。

これはもう、誤差なのでいっちゃうです。

テクテク、ドキドキ、だんだんと近づいてるです。

はぁっ、いくです。

「翔君、待ったです〜?」

この定番の恋人セリフ、

やってみたくてしょうがないのです。

翔君はどう返すです?楽しみです?

「えっ。」

スマホからもパッと顔を上げた。

お、驚いたです?

はっ、まさか菜歩のことだから

もっと遅れると思っていたです?

それともメガネをしていなくても、

いつもとは違う、くるりんぱとか編み込みをした

ポニーテールが上手くいき過ぎて

菜歩ではなく、知歩だとバレてしまったです?

「あっいや、………なんか、です?がついててさ。

 もしかして妹の知歩さんの口調うつった?」

ドキーッ、い、いきなり名前が出てきて

ビックリです。

そうでした、口調のこと忘れていたです。

………ううん違う、忘れてた。

「あっ、ホントだ〜。

 出発前に色々言われたからかも。

 これ見て〜知歩がやってくれたんだよ。」

そう言って私は後ろを向き、髪を指差す。

セーフです。

ついでに、私のこともアピールできて良きです。

「知歩さん、手先が器用だね。」

う、うれしいです。私のことを褒めてるです。

「それと、服も髪型も似合ってる。

 ………カワイイ。」

翔君はそっぽを向いた。耳が赤い。

えっ。い、い、い、い、いま私のこと可愛いって

言ったです?カワイイ………感激です。

自分でも顔が赤くなっているのを感じるです。

もう、計画の成果ができてしまったです。

でも、まだこれからなんです。

もし、上手く行かなければ振られて

デートがもう二度と出来なくなるです。

「い、行こっか。」

私は声をかけ翔君は向こうを向いたまま頷いた。

そして、翔君は

手を出した。

何も言わずに手を重ねる。

2人は別方向を向きつつながら進み出すも–––––

手はしっかりと握られていた。

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