第6話  作戦とは?

同時に始めた同じ量の宿題を先に終えた知歩は、

2階の私との共同部屋の机で何か書いていた。

と、いうとこまでは覚えているけれど

色々ありすぎて知歩が書き終える前に

私は寝てしまっていた。

いつの間にか朝だった。

朝起きるのは苦手である。けれど、早く寝たためか三度寝をすることなく、二度寝で起きた。

いつもより早く、知歩より遅くに起きれた。

「おはよ〜」

挨拶をする。

「おはようです。今日は少し早い起きるのが

 早かったようです。そんなに気になるです?」

と、知歩は少し驚いて聞いてきた。

「なるよ〜、だから早く教えてよ。」

「まずはこれを見るです。」

これとは、昨日何やら書いていたもの。

それは、告白の返事の手紙だった。


翔君へ

「好きです。付き合って下さい」と言われて

 嬉しかったです。私も翔君の明るくて、

 優しいところが好きです。突然のことで

 昨日は驚いてすみませんでした。

 私も翔君のことが好きなので

 付き合ってほしいと思っていました。

 まだまだ寒いので体に気をつけてください。

 それから、放課後また校舎裏に来てください。

 一緒にメールできるようにしたいです。

                   菜歩より


「えっ」

手紙を読んでの第1声はそれだった。

当然だった。まず、私と翔君が付き合うことに

なっていることが驚きだった。それは、

知歩に任せたから置いておくけれど、

「知歩、この文章は私っぽくないよね。

 自分で言うのもなんだけど、私はもっと雑だよ?

 これ、丁寧すぎない?」

頭のいい知歩なら私っぽい文章も書けたはずなのに。

「大丈夫です。私が翔君と付き合うです。」

「!? えっっどゆこと!?」

さっきから驚きっぱなしだ。

「デートとか私が菜歩に変装して行くです。

 そして、私のことを好きになってもらうです。

 だから、私の、知歩っぽい手紙の方がいいと

 思ったです。」

「意図はなんとか分かったかもしれないけど、

 うまくいくかな?

 私、口が軽かったり忘れたりするし、

 いつかボロでそうなんだけど。

 それにいつまで続ければいいの?」

とにかく、心配になる。

「まぁ、そんなに長くはならないです。」

「ほんとに?」

翔君がすぐに心変わりするような人には

思えないんだけどな。

「まぁ、菜歩は協力するしかないです。

 昼休みは変装する時間ないから、

 とりあえず昼はこれを渡すです。

それと、誰にもこの作戦は言わないで、です。」

そう言って告白の返事の手紙を渡した。

「行ってきますです。菜歩も遅れないように

 するです。」

「えっ」

時計を見るといつもの出発時間ちょうどだった。

いつもより早く起きたのに話してたら

時間がなくなっていた。

あっ朝ごはん…食べてない。

慌てて食パンを出しくわえながら、

今日の準備を始めるのだった。

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