[変更済]MISSION 4 : 未知の挑戦のためには準備しましょう







 私こと傭兵系美少女大鳥ホノカちゃんは、任務で未知の大陸の空へ偵察を行った。


 現れた巨大怪獣!未知の生態系!!


 行手に現れた毒ガスの霧の向こうには、

 未知なる知的生命体が、古き時代の地球のような文明を持って戦争をしていたのだった。




 そんな何かオカルト探検隊2時間スペシャルじみた内容の経験をして、私達はある意味すごい事だけど無事に帰ってきたのだった。




 早速、合流した潜水輸送艦の方の傭兵スワンと一部のインペリアルの部隊の隊長格達なんかが集まって会議開始。


 あ、あっちに船にランク2さんことアンネリーゼさん乗ってたのか。手を振ってきたし手だけで挨拶返しておこー‪……‬見ない人もいるな。傭兵スワン




「─────我々が予想していたのは、恐竜時代や新生代初期のような世界だった」



 そして記録映像の上映会が終わった。


 一番偉い人の褐色癖っ毛なイケメンさんのグウィンドリン公爵が、気持ちが分かるほど目元を抑えて、なんか絞り出すって感じに言った。




「それが‪……‬それがどうだ?

 彼ら‪……‬いや彼女らか?

 見ろ‪……‬ヘルメットがある。所属を表す服が見える。銃器も‪……‬レーザーを手にしながら、遠距離攻撃には質量のある実弾兵器が有効と使っている。

 化学兵器に、これは生物を利用しているが戦車か?

 航空機もそうだ‪……‬


 見た目の、異形さだけにとらわれず見れば、彼らはすでに産業革命を終えている!


 塹壕戦、機関銃陣地、鉄条網!


 我々が旧西暦を生み出して、1900年近くかかった文明が‪……‬300年でできている。


 いい意味と捉えるべきか、悪い意味と捉えるべきか‪……‬分かりかねる事態だ‪……‬!」



 確かに、正直「どうすんだこれ?」って面が大きい。

 私達、あくまで戦う相手は獣か怪獣ぐらいだったはずなのに‪……‬知的生命体、なんて言うのがいる?


 どうすんのこれ??




「‪……‬あのさー、公爵くんさー、逆に考えたほうがいいんじゃない?」


 と、あっちの船のスワンっぽい、白髪と黒髪マーブルな感じのロングな女の人が手をあげて言う。


「ミス・オーグリス。というと?」


 オーグリス?なんか聞いたことあるな‪……‬


《‪……‬あの子、テレサ・オーグリス。私のだーいすきで古巣とも関係があるO.W.S.社の社長。

 で、『ギフト1』の中身の一つ》


「え、じゃああの人、地球人?」


《広義的には》


 マジか‪……‬‪……‬なんか、『ギャル』って感じのおねーさんじゃん‪……‬ただのギャルおねーさん!



「言葉が通じるか分かんないけど、この謎の知的生命体ちゃんには文明を理解する知恵ぐらいあんでしょ?

 交渉の余地はあると思うよー?」


「確かにな。だが言語もわからない別の生物だ‪……‬

 価値観が同じかどうかは、賭けだが?」


「そうかなぁ〜?

 私的にはー‪……‬第一次世界大戦とほぼ同じことしてるってことは、必要なものもこっちとほぼ同じってコトじゃねって感じ。


 案外、価値観も近いかもしれないじゃん?」


 あらま、ギャルおねーさん社長さん、すっごい頭良さそうなこといってる?」


「その『かもしれない』に賭けるだけの勇気とチップが足りないのだ」


「そこかー‪……‬ねー、公爵ちゃんさー、ついでで悪いんだけど、『ギフト2』降下地点と、偵察に出たeX-Wの地図データ重ねてくんなーい?」


「まぁ良いとも!御老嬢の頼みとあれば、顎で使われるのも紳士の務めだ」


 と、何やら画面の地図と例の落ちてくる地球からの宇宙船の進路が‪……‬まって、いまごろうじょう‪……‬御老嬢って言った?


《‪……‬ちなみにテレサ社長はもう86歳》


「マジで?」


「マジだけどぉ?」


 うわ、聞こえてた!?!こっち見てニヤニヤしてる!!


「なぁにぃ?ヒソヒソ年齢の話ぃ?

 別にいーじゃん、強化人間プラスアルファなんだから?

 脳が若いうちはずーっと、私おねーさーん♪

 ふふ、大鳥ホノカちゃんだっけか?

 君だって強化人間プラスアルファLv.4なんだし、若いうちになっといて正解と思うよー?」


 なんていうんだっけ?横に倒したピースする笑顔がまさに!若々しい!!ちょりーっすっていう感じのセンスは大分古い気もするけど!


「お嬢さん方、終わったから再生して良いかな?」


 おっと、公爵さん呆れた目!!


「ごめんごめーん!怒らないでおねがーい??」


「キツいぞ、御老公」


 なんて言いながら、会議室の壁のクッソでかモニターに映る、二つの線。


「だが、ある意味でちょうど良いようだな。

 青い色が、シミュレーション上のギフト2効果予測地点。


 その下の赤い線は、ちょうどそこの大鳥ホノカとローレンス一曹級騎士のルートだ」


「じゃあ、内陸なんですね」


「君は話が早くて助かるな。

 所で、他の皆も心して聞いて欲しいのだが‪……‬


 この『ギフト2』降下予測地点なのだが、記録映像の時間と進む距離を計算した上で見ると‪……‬


 君が『毒ガスの霧』に突っ込んだ辺りだが‪……‬


 すまんが、もう一度その場所がなんなのかを言って欲しいが、良いかねお嬢さん?」



 え?

 あ‪……‬あーッ!!



「‪……‬‪……‬戦場です」


「‪……‬‪……‬ふぅー‪……‬間違いないかね?」


《この子のサポートAIとして発言します。

 塹壕戦のど真ん中、明らかに『クリスマスまでは終わらない』戦いのど真ん中です》


 コトリちゃんが代わりに答えた時、周りの傭兵スワンも、インペリアルの偉めの人も、当然公爵さんもふかーいため息やら妙な表情やらを見せましたとさ‪……‬



 当たり前でしょそんなの。


 え?未確認知的生命体のいる戦場のど真ん中??


 そこに私たちの回収するものが落ちるぅ????


 あーっはっは!傑作!!


 絶対面倒臭い!!


 私みたいなアホでも分かる!!!




 これ面倒臭いやつだ!!




「‪……‬‪……‬ありがとう。諦めがついたよ。


 ‪……‬‪……‬士官、並びに将校だけ残ってくれ。

 後は解散だ‪……‬‪……‬ミス・オーグリスも残ってくれ。


 いよいよ我々は、どう未知へ挑むかを決めなければいけない‪……‬」




 流石に、重要すぎてデリケートっぽいし、偉い人だけで会議しかないか。


 じゃ、雇われは、待機ですね。




           ***


 格納庫に戻ってきた私は、鬼畜シミュレーターでいつもの苦手なブレード練習中だった。



「どうなるんだろうねぇ」


<コトリ>

《こればかりは分かんないね》



 ハイ負けー。ブレオン無理ぃ。

 集中もしづらいし。


「そこにどんな人がいて、なんで命かけて戦ってるか分かんない場所に、私たちの求めるものが落ちるのか」


<コトリ>

《考えても仕方ないしさ。

 にしたって酷い戦績。ブレードだめかい?》


「近づいて斬るって難しいよー!!

 もうやめ!!ブレードダメだー!」


 えー、とかいうヒナちゃんなんて知らない!

 はい終了!シミュレーターは一日1時間!!



「───本当に酷いスコアじゃのー、お前?」


 と、シミュレーターの外には、チョコレートスキンな背の高いスタイルがモデルか何かってぐらいエグい良いハイパー美人のキリィちゃんがいた。

 でも口調は広島弁。本当にこの目の前のお洒落な雑誌の表紙飾れそうな子が喋ってんの??



「あら、見られちゃった?」


「お前も悪くない動きじゃけぇ、ブレードだけ随分悲惨なのは解せんかったけぇのぉ‪……‬ちぃと分かったかもしれんじゃ」


「え?」


 と、キリィちゃんはなんと、VRゴーグルを渡してくる。


ツラ貸せ。ゲームの時間じゃ」


「‪……‬え?」








 数分後、VR訓練スペースなる船の一角。


 強化人間プラスアルファには標準搭載な腰のアダプタに本体を刺して、VRゴーグルはこめかみの辺りの端子に繋いで装着。


 白くて緩衝材だらけの場所が、一瞬でなんか闘技場っぽい場所に。



『ホノカぁ、思うんにお前、ブレードの感覚っていうもんが無いんじゃけぇ』



『ブレードの感覚?』



 VR空間なんで、キリィちゃんも動きやすい服からいつもの高性能なくせに露出が高すぎるパイロットスーツ姿になっている。

 まぁ私もいつもの全身ピッチリの上にアーマー纏ってるパイロットスーツ姿だけど。


『コイツは、歩兵用強化人間プラスアルファ‪……‬

 大昔だと『戦闘サイボーグ』呼ばれていた者のための訓練プログラムじゃ。


 ホノカ、ワシら強化人間プラスアルファどうし戦う時、何使うか知っとるか?』


 そういえば‪……‬一応強化人間プラスアルファLv.4の私は、コックピット抉られるレベルのダメージでも生還しちゃうしな‪……‬


 これが普通だとしたら、何で‪……‬



『コイツが答えじゃけぇ』



 そう言って、キリィちゃんが見せたのは、



 ザ・日本刀、としかいえない武器。



『刀!?』


『高周波ブレードじゃ。

 この長ドスで、チャンバラする。

 高周波のパワーで、スパスパ切り裂いて細切れにしあうのが、戦闘サイボーグ呼びの時代から続く伝統で、確実な戦いの手段じゃ』


 慣れた手つきで、日本刀‪……‬高周波ブレードの切っ先をこっちに向けて構える。


『え、マジで!?』


『ま、まずはぶった斬らせてもらうけぇのぉ!?』



 瞬間、キリィちゃんに凄まじい速さで踏み込まれた私!

 速い‪……‬なんて思った時には肩に高周波ブレードが食い込んでいて、スパンと一直線に脚まで切られた!

 吹き出す白い人工血液!!痛い!!

 倒れる私。

 その顔の前に白い血で濡れた刃が突きつけられる。


『高周波ブレードっちゅうんは、例えデカいライフル弾当たっても痛いで済むワシら強化人間プラスアルファも、豆腐みたいに切り裂ける。

 さ、コンティニューせい。

 お前もブレード出せぃ』


『‪……‬〜、確かに悔しいかも‪……‬!』


 神経接続だから切られた痛みはマジ再現らしい。

 まぁ治るけど。VRだし‪……‬直した上で、じゃあ私も日本刀っぽい高周波ブレードを出す。



『いいか?用はお前、ライフル撃ったり蹴ったりするのは身体がなんとなく理解しとるから、神経接続越しでも完璧にできる。

 けどチャンバラなんぞやったことないじゃろ?』


『男の子っぽいからね。お淑やかな小学生だったよ』


『ワシは、剣習っとる男相手に勝ったことある小学生だったけぇ。

 今も、とっつきやる感覚鍛えんのに、これ使うてチャンバラやっとるし、空手なんかも有効じゃ』


『なるほど‪……‬』


 なんか分かるかも。


『ワシも我流じゃ、剣機道なんかよりは弱いじゃろうけど、これ覚えた方がいいと思うけぇ。

 付き合え、チャンバラに』


『分か────』



《まぁ待ちなよ。もう少しいい方法を取ろう》



 と、突然この闘技場にポンと現れる影。

 30cmの手脚と頭の大きな三頭身マスコットボディの赤白の子は‪……‬


『コトリちゃん!?』


『コトリちゃんか!!』


《私も盲点だったよ。キリィちゃん、君の言うこと一理あるね。


 じゃ、私も参加しようか》




 ジジジ、とコトリちゃんの姿が砂嵐みたいにぼやけて、ふとその大きさが変わる。



『え‪……‬?』



 若干赤みがかったブラウンヘアーなショート。

 私より小さな背丈。

 普通のパイロットスーツインナーに、機械式って分かる両手の義手、


 そして、逆関節の義足。


 ちょっと童顔で茶色めな瞳の美少女。




《‪……‬‪……‬脚こっちか。まぁ死ぬ前これだったしなー》



『その声コトリちゃん?』


《そ。これ生前の姿》


 マジか‪……‬私より、


《君より年下じゃないよ》


『心読んだ!?』


《分かりやすすぎるぞ相棒》


 と、言いながら、ツカツカ近づいてくる人間版 (??)コトリちゃん。



《キリィちゃん、これでも私、強化人間プラスアルファにはかなり詳しいからさ。

 君以上にチャンバラするにはうってつけだったりするよ?》


『本当かぁ?

 ま、作法もクソも無いワシじゃが、場数は踏んどるぞ?』


《試してみるかい?》


 次の瞬間、全く振りかぶったりもせず突きを放ったキリィちゃん。

 だけど、いつのまにか人間版コトリちゃんが手になんだか鎌みたいなナイフを逆手に持っていて、突き込まれた高周波ブレードを受け流していた。


 そのままくるりと背中から回って、スパンと鎌みたいなナイフでキリィちゃんの片腕を切り裂いた‪……‬!?


 お、お見事ぉ!?!

 手際良すぎぃ!!


『お‪……‬!?』


《踏み込みと、間合い、全部良かったけど、最後だけ足りなかったね》


『マジかぁ‪……‬ただもんじゃなかとは思ってたけぇのぉ‪……‬!

 なにもんなんじゃ、コトリちゃん!?』


強化人間プラスアルファが大ぁい好きすぎて自分もなっちゃった子♪

 ま、このカランビット捌きは、趣味》


 ヒュンヒュンと鎌みたいな高周波ブレードを回して人工血液を拭う。

 様になってるぅ‪……‬!


《‪……‬てなわけで、3人でやろうよ、チャンバラ。

 確かに、近接の感覚ってやつ身体で覚えれば、ブレード当てるのも楽になるかもね》


 にっこりと笑って提案するコトリちゃん (等身大)



『‪……‬‪……‬コトリちゃん、スパルタだし嫌────』




 当然と言うか、口答えしたら縦に切り裂かれた縦に真っ二つに。



《やれ》


『はい』



 まぁやるけどさー!!やるけどさー!!

 絶対これスパルタコースじゃん!!


 今時修行って流行らないでしょ!?ねぇー!!!




          ***

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