━オーバー ワールド ジェネレーション━
アルターステラ
第1話 ある未来の日常
この物語はフィクションであるが、人類の進化の可能性のうちの少なくとも一つを含むものであると宣言する。
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今日は快晴。
天気予定に即した天候維持はこの数百年間でたった1度の
出歩く人達は生身ではなく、
生身の体は隔離されているので、人類は感染症の
と言っても、ほとんどの人は意図的に優れた遺伝子を持つように進化調整の過程である。
それぞれの人種に合った最適な骨格や内蔵、容姿が選別されつつあり、不健康体や見た目が悪いという人はなかなかレアであった。
本体は生まれた時から基本的には生命維持装置に入り、生命維持装置に入った次の瞬間から
それらは必要であれば生まれた直後でなくてもいつでもクラウドから引っ張ってくることができる。
記憶喪失やアルツハイマー病などの記憶障害は、この世界では無縁であった。
人類は共通のデータベースを持ち、自身の経験や他者の経験を吸収して活用する事ができる。
1人につき複数体の
1人で動かせる最大数は、ハードウェアやインフラの進歩と共に年々増加している。
例えば、1体は義務労働に従事している間、もう1体で学習を行い、さらにもう1体で食事や排泄、衛生、全機体の衣住などの確保・生理機能の遂行を行い、他の機体で故障機体のメンテナンス・アップグレード・機器換装などを行い、さらに他の機体で娯楽、享楽を謳歌し、また創り出すクリエイティブなことを楽しんでいる。
予備機体で慈善活動や惑星規模プロジェクトに従事する。
それらを同時進行させ、1人の寿命で行えることを多岐化する進化を遂げていた。
そう、ちょうど彼のように。
フロアの床や建物の外壁に反射して映り込む1人の少年の
━━ある少年の日常
彼が乗っているのは、エリア内で行き交う交通手段の1つ。
ホバーリフターだ。
移動時には誰もが使っている汎用的な乗り物である。
タイプは様々だが、少年は進行方向に対して機動性に富むスタンドアップボードタイプのリフターを使っている。
サーフィンのように空中を体を横向きの体勢で滑る。
リフターが
機構としては、フロアの床や建物の外壁に設置された磁気と、ホバーリフターの磁気の反作用で浮上と移動を可能にしている。
高度に制御された磁気システムで建物の壁も垂直方向に進める。
もちろんどんな体勢であっても落ちることはない。
こんなふうにトンネル内を縦に一回転しても、ホバーリフターが足から離れることはない。
建物には各階にリフターポートがあるのが普通だ。
縦移動も横移動もこれで済むということだ。
リフターでの移動中に自己所有している他の
先月試した新作のミールはイマイチだった。
元々食べていたスイーツ型のミールに戻しておく。
このミールが大好きだ。
芳醇なフルーツの香りと味、パイのようなサクサクとした外側と内側の暖かい果肉のとろける食感、1つのミールとしての量も申し分なく、食べたあとに得られる充実感がやはり違うのだ。
他のミールを一応試してみるが、やはりこのミールに戻ってきてしまう。
僕も父さんのように偏食家になりそうだ。
最近新しいものを試してもしっくり来なくなってきた。
だって、お気に入りのこのミールを数世紀食べ続けろと言われても大丈夫そうだ。
ミール設定を終えて他の
今日の衣装を詰めよう。
ここの背中の幾何学模様の部分のテクスチャを変えよう、もっと肌触りが固いもので、かつ、光りすぎないテクスチャにしておこう。
ちょっと主張方向を間違えると、過激な
エンブレムにも改良が必要かもしれない。
エンブレムは得意じゃないので、アルギニオンにでも依頼しておこう。
ついでにリフターのデザインも変えてもらいたい。
自己変更分を更新すると、瞬時にリフターに乗っている
依頼したものも直に完了して
あっちはどうなってるかな?
ひたすらに手を動かす、打ち込むキーの意味は分からない。
言葉の
一日中打ち続け、明日も明後日も、毎日。
本当にこれを解読できる奴がいるのだろうか?
たまに見に来るが、やっている事はさっぱりわからない。
まあ、いいや。
また別の
ここは暗い。光の列が2本浮かんでいる。
自身も光の列に加わる。
次の瞬間、眩いライトに照らし出された。
巨大な
ホバーリフターのブーツタイプを履いて、背にもバックパックタイプを背負っている。
手にもグローブタイプ、ヘルメットの後背にも、膝や肘にも、腰や肩にも至る所に身につけている。
全身にホバーリフターがあり、立ち並ぶ面々にも同じくホバーリフターを全身に纏った男女が整列している。
自身も含め30人が巨大スフィアの中心部で、2列に並び、スフィア内で浮いている。
1列ごとにテーマカラーがあるのか、片方は赤を基調とした衣装とリフターの発行だ。
もう片方の列は紫を基調としている。
その2列の真ん中には
そろそろ開始の笛が鳴る。
チーム内通信で事前に決めたプランを詰め、仲間たちと頷き合う。
試合開始の鋭い笛の音!
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