星加Lab. ――素人音楽家の制作の裏の裏――

星加のん

Ch. 01 はじめに

 はい。

 えー、唐突に始まりました「星加Lab.ラボ」ですが、ちら裏エッセイをお読みいただいている方にはもはや呆れられるくらいに知られていると思いますが、筆者は相当な音楽狂いでございます。

 それで好きが高じて音楽を作ったりなんかもします。


 先日、音楽について熱い思いを書き綴っているエッセイはないかなぁなんて思いながらカクヨム内を彷徨っておりましたら、本当に数は少ないですがわたしに近いような聞き専の方のエッセイや、DTMやってるっていうエッセイを見つけたんです。


 お、これ絶対需要ないけど、同じく需要のないちらしの裏エッセイを書いてるくらいだし、そっちより音楽作りたい人の役に立てそうだなとか思っちゃって、わたしの音楽制作の裏側について書いてみることにしました。


 これ、多分ですがDTMやらない人にとっては全くわけのわからない用語だらけになってしまいますが(それどころかライトなDTMer層にもワケワカメな用語のオンパレードになりそうな気が……汗)、できるだけ都度説明していくようにしますので、音楽制作興味あるっていう人は是非読んでほしいなぁ。


 あくまでわたし(素人ミュージシャン)のやり方なので、これ違うだろって指摘できる詳しい方がいらっしゃったら指摘していただきたいです。


 星加Lab.ラボは、一般的な音楽リスナーには全くのブラックボックスとなってしまっている謎の音楽の制作過程について、わたくし星加のんが悪戦苦闘しつつ試行錯誤する過程を記録したルポルタージュである(大げさである)。


 ところで、音楽を作ると聞いて読者のみなさんは何を想像しますか。

 ギターやピアノを弾きながら歌を歌って、それを何か譜面のようなものに記録しているイメージでしょうか? もちろんそれも立派な作曲行為ですね。


 日本の歌謡界の古くからの伝統だと、作詞家と作曲家に加えて編曲(アレンジ)の専門家がいて、作曲家から上がってきたメロディに最適なコード(和音)進行を付け、楽器編成を決め、各楽器のフレーズや曲構成を決めてレコーディングまでします。

 

 レコーディングされたものは、ミキシングエンジニアの手で何十トラック分もある各楽器やボーカルパートごとの音量や音質のバランスを調整されて、家庭用の民生再生装置向けのモノラルやステレオ、あるいはサラウンドなどの1〜5チャンネルにまとめられます。

 その過程ではリバーブ(残響音)を足したり、音の輪郭をくっきり際立たせるようにしたり、その他様々なエフェクトを施したりといった作業も含まれます。

 これを一般にミックスダウンと呼びますが、これで終わりではありません。


 次にそのトラックはマスタリングエンジニアの手に渡ります。

 マスタリングという工程の一つの役割は音圧の調整です。

 ヴァイナルと呼ばれるアナログレコードでは、この音圧をあまり高く設定すると、針が飛んでしまうという制約があって今ほど音圧を高くすることができなかったのですが、音源がデジタル化した現在では理論的には0dbギリギリまで音圧を上げることが可能になりました。

 実際にはマージンを取って-2dbあたりをピークに設定することがほとんどなのですが。


 また、ロックやポップスのアルバムなどでは通常10曲前後収録されますが、アルバム全体を通しての聴感上の音量のばらつきが出ないように揃えたり、民生機での再生時に心地よく聴きやすいように帯域のバランスを調整したり、ステレオの広がり感の調整をしたりもします。

 取り分け、近年ではデジタル圧縮されたストリーミング配信で音楽が提供されることが多いため、そのような環境向けにバランスを取るといったこともされてますね。

 こうした作業をまとめて、マスタリングと呼んでいます。


 さて、作詞作曲編曲といった工程について、日本独自の文化と上述しましたが、欧米や国内でも若手のヒップホップ系の作曲に関してはかなり事情が異なります。

 たとえばトラックメイカーと呼ばれる人たちがいて、その上にメロディメイカーがメロディを付けるとか、ラッパーがラップを乗せるといったことがなされていますね。

 他にも複数のトラックメイカーやメロディメイカーがチームとしてパートごとに制作すると行ったこともなされるようです。

 このように、コ・コンポーズの集積で作るスタイルというのは主に、ヒップホップやダンス系の曲に多く見られる作曲スタイルです。


 これがクラシックの作曲家となるとまた全く異なっていて、作曲イコールオーケストラアレンジまで含むということになるのが普通ですね。

 通常クラシック(バロック以降)の作曲家は、いくつかのモチーフを使って、いろいろな楽器の組み合わせで、音程を変えたり音価を変えたり、テンポを変えたり、実に様々なアレンジを施して3,4楽章くらいの作品にまとめ上げるところまでが作曲でした。


 このように、作曲と一口に言っても何を持って作曲と言うのかは様々。

 わたしのような一般人が趣味でDAWを使って曲を作る場合には、一般的にはレコーディングからマスタリングまでを自分のパソコンやタブレット、場合によってはスマホで完結させてしまうことを指すと考えられます。

 したがって、この星加Lab.ラボにおいて音楽制作とはそこまでを指すということにしますね。


 なお、アートワークや音源発表の場、商業作品としての流通については、今の処当ラボの対象とはしない予定です。

 こういう場所で書くにはマニアックに過ぎるとは思いますが、カクヨムの裾野を広げるという意味で意義があると思うので、やってみます。

 多分不定期更新。

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