夏の夜火

クラウドストーリー代理

第1話 想ひ出

小学校の卒業アルバムを開いて、色褪せた写真を同じく褪せ、爪が割れた指でなでた。

およそ70年前の記憶が薄いながら浮かび上がってきた。休み時間に響いた笑い声、授業中に先生の目を盗んで渡した即席の手紙。もう既に手紙を回していた奴らはもう死んだ。

陽が傾き、ヒグラシが鳴き始める頃。

安楽椅子に眠るように死んでいた男が、帰宅した家族によって見つかった。

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