第43話 2023年 4月6日 サスペンスかよ
私がのんきに美容院の予約をし、咲きかけの濃いピンク色をした桜を写真に収めている間にも、君はメンヘラ女に閉じ込められたままなのだなーと思う。
可哀想なことだ。
まあ監禁というわけでは無さそうだし、心配はないだろう。かわいそうに。
君は自分がどんな状況にいるのか分かっていないのだ。分かっていないからそんな呑気に……
12月15日、君と連絡が着かなくなってから3ヶ月以上経っている。もう私のことなんて忘れてしまったか、面倒になったのだろうと思っていた。LINEだって既読もつかないし、1ヶ月前くらいに1度見かけた時は他人行儀にぺこりと頭を下げられた。LINEもブロックされたから既読がつかないのだと思っていた。
もう二度と、どうせ読まれない文章を送り付けるのはやめようと思った。それなのに、その夜、急に君から電話がかかってきた。
「次、俺からLINEが来ても、それは本心じゃないから。電話もさせられるかもしれないけど言わされてるだけだから。それは俺の本心じゃないから、それだけは信じて」
「……信じる」
「俺からのLINEには、今の電話のことは知らないフリをしてそのまま思ったこと返信してくれればいいから」
どこぞのサスペンスかよ。
言われた通りにするけど。そんな呑気に対応してていいのかよ。軟禁状態なんだぞ?
知らねぇよもう……
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