第4話(2) 高校時代の
「姫城さん、来ませんでしたね」
「まぁ、毎週来るわけじゃないみたいだし、今回は縁がなかったって事で」
お店を出て住宅街を歩く。
静香ちゃんとの再会を
結局、店内にいたのは二時間程。これ以上粘っても可能性は低いと感じた私達は、葵さんに別れを告げ、お店を後にした。
「完璧星人さん、会いたかったな」
「また来よ」
葵さんも「また来い」と言っていたし、近い内にもう一度来たらいい。土曜日なら私も付き合えるし。
「見たらきっとびっくりすると思うよ。すっごく綺麗だから」
「みどりさんよりですか?」
「いや、私なんか比べものにならないって」
優子ちゃんのその、私への謎の信頼は一体なんなんだろう。嬉しい反面、普通に恥ずかしい。
彼女を初めて見た時、
彼女達と私を比べるなんておこがましい。月とすっぽん、
お店から歩く事約十分。目的地がようやく見えてきた。
「あそこが私の通ってた高校」
「へー。ここが」
少し離れた所から全体を見やり、優子ちゃんが
「綺麗で立派な所ですね」
「そう?」
私立で且つ様々な方面で成果を残している学校なので、生徒数もそれなりに多く、その分設備も整っている。そういう意味では、他の学校と比べて【立派】なのかもしれない。
「私も、みどりさんと一緒の学校に通いたかったです」
「女子だけっていうのも、それはそれで大変だよ」
「そう、なんですか?」
よく分からないといった感じに、優子ちゃんが小首を傾げる。
まぁ、こればかりは、実際に体験してみないと分からないだろう。加えてウチは、お嬢様学校的な要素もあったので、
校舎のすぐ近くで、足を止める。
土曜日とはいえ、人の出入りはそれなりにあった。その中に男子が混ざっているのを見て、私は少し感慨を覚えた。ショックという程のものではなかったが、多少の寂しさは感じる。共学になった事にというよりかは、自分の通っていた頃から変わってしまった事それ自体に。
「行こうか」
用もないのに中に入るわけにもいかないので、ほんの数十秒でその場所を離れる。
それに、部外者が外から中の様子を長い間眺めるのは、あまり褒められた行為ではない。もしかしたら、目撃した人間に不審がられてしまうかもしれない。
「みどりさん、高校時代は何部でした? ちなみに私は、テニス部でした」
テニスか……。なんとなく、優子ちゃんに似合いそうなスポーツだ。ミニスカ―トをひらひらさせ、コート上を動き回る優子ちゃん。なんか、いい。きっと可愛らしくて、見ている人が思わず応援したくなる感じだ。
「私は帰宅部。生徒会の方が忙しくてね。そっちで手一杯って感じだったな」
というのは建前で、本当は入りたい部活がなかっただけだったのだが。しかし、そう言っておけば大抵の人は納得するし、実際生徒会役委員で部活に入っている人は少なかった。
「みどりさん、生徒会に入ってたんですか!?」
「そうだよ。言ってなかったっけ?」
「初耳ですよ」
とはいえ、そこまで驚く事ではないと思う。葵さんや静香ちゃんみたいに、生徒会長だったわけでもないし。
他の委員会活動と同じ――とまでは言わないが、所詮は学生の委員会活動の一つだし、部活で結果を残している人達に比べたら私達の活動なんてほとんど日の当たらない地味なものだ。ちやほやされている運動部を
「役職はなんだったんですか?」
「書記。ホワイトボートやノートに文字を書いたり、後はパソコンに打ち込んだり?」
「みどりさん、字綺麗ですもんね」
「それで選ばれたわけではないと思うけど、よく
他に褒めるところがなかっただけかもしれないが、やはり嬉しいものは嬉しい。
「ずっと書記だったんですか?」
「うん。三年間ずっと書記。ちなみに、私が三年の時の生徒会長が静香ちゃん」
「え? 二年生なのに?」
「二年生なのに」
そう言えば、如月さんも現在二年生で生徒会長をやっている。意外と共通点多いのかな、あの二人。二人共彼氏持ちだし。……そこは関係ないか。
「ホント凄い人なんですね、その姫城さんって人」
私の話を聞き、優子ちゃんは改めて静香ちゃんの
「会えば分かるよ」
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