天気日記

白田

霖雨

イヤホンを耳にはめ込む。

スマホとペアリングする。

某動画サイトを開く。

お気に入りの曲を大量に保存してあるマイプレイリストをタップする。






常人なら鼓膜が破れるくらいの爆音が耳の奥深くまで流れ込む。




全てを投げ捨てて、誰からも必要とされずにただただ消えたくなることがある。




どうしようもなく自分が醜くて、汚くて




このまま理性を失ったらすぐにでも窓枠を越えてネオンライトでまばゆい夜の波に飛び込んでしまいそうで、



でもそんな勇気はどこにもなくて、



それすら気力が湧かなくなった時、私は儀式をする。




ノイローゼな叫び声も、喘ぐような泣き声も、低い軽蔑の声も


全てを遮断したくて

何も聞きたくなくて



同じことを何度聞いた?

同じことを何度言った?



何も変わらない毎日からの小さな逃避行だった。



爆音で聞く音楽はいつも登下校中に聞いてる曲と全く同じ曲なのに180度ちがって聴こえる。


音楽の声が聞こえる。





底のない淵にただただ沈んでいくみたいに





だから今日も霖雨から逃げたい僕は耳に傷だらけの絆創膏を貼った。






8ガツ30ニチ キョウハリンウ。


*霖雨…何日も降り注ぐ雨。








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