第228話 デート 5

〜エルフ〜


守護者としての活動が終わりました。

ボウリングは残念ながら中止、今はお昼ご飯を食べています。


「誕生日おめでとう〜。」


「い、いぇーい…?」


えっと、別に誕生日じゃ無いんだけどなぁ…


オムライスを食べ終わる頃、何故かハッピーバースデーのケーキが届いた。

イチゴの乗ったショートケーキだ。


「???」


「美味しい?」


「うん、ウマウマ…」


「よかった。」


「?」


頭からハテナマークが離れない。

誕生日じゃないのに祝われてることにエルフボディがバグったみたい。

そこまで深く考えなくて大丈夫だと思うな、多分琴音さんも『ケーキ食べたいなぁ』って思ったとかでそんなに深い意味はないと思うよ。


「これからどうする〜?」


「…?」


「いやほら、あのボウリング場は守護者が現れて話題になったのかテレビ局の人が沢山来ちゃったじゃん?

流石に今日は無理だろうなってさ。」


まぁそうだろうね。


魔法使い同士の揉め事ならニュースになる程ではない。

でも魔法使いが魔法を使って脅しちゃったのは悪かった、魔法使いを叩く動きがあってもおかしくない。


っと、何をするかって話だったよね。


「公園…」


「公園?

いいよー、せっかくだし少し大きいところに行こうね。」


「うん…」


私エルフボディ、自然を求めてる。


ーーーーー


「スーッとするね〜。」


「うん…」


都会の中にあるとはいえ大きめな公園で自然も沢山、空気がとても綺麗だ。


「あ、ベンチだ。」


「座る…」


公園を適当に歩き回る、途中にあるベンチに偶に座りながらのんびりとした時間を過ごしていく。


…今更なんだけど、琴音さんの求めていたお出掛けってこれで良いのか?

ほら、水族館とかボウリングとかって遊ぶところっぽいし、もしかしたら琴音さんは遊びたかったのかもしれない。


「フー」


「ヒャァ!」


「ふふふ、私は楽しいよ、そんなに難しい顔しないで。」


考えていた事がバレてたみたいで急に私の耳に息を吹きかけられた。

エルフボディってあまり顔に出ないんだけど、一緒に長い間暮らしたからか、琴音さんには私の感情がなんとなくバレてる。


「琴音…」


「んー?」


今まで流れでずっと一緒に過ごしてきたから、琴音さんが私と一緒に居てくれる理由を知らなかった。

いい機会だし聞いてみよ。


「あの夜、どうして、私を連れて帰ったの…?」


「あ、えっとね〜…」


私が琴音さんに会った時のことはエルフボディがビビリすぎて正直あまり覚えてない、会った時に感じた事とか、ちょっとヤバい人かな?って思ったぐらいしか記憶にない。

でもそんなに迷うって事は、なんかヤバい事があったのかな?


「……」


笑顔のまま固まり何も言わない琴音さん。


「それで、どうして…?」


ん?

どうしたエルフボディ、まさか気になるの?



白仁琴音しらにことね


緊急事態発生。

いつか聞かれるとは思ってたけど、まさか楽しいデート中に聞かれるとは思ってなかった。


「それで、どうして…?」


ヤバイ。

私がリースちゃんを連れ帰った理由は、ぶっちゃけ可愛いなって衝動的だったんだ。


いや、夜中に公園のベンチで寝てたリースちゃんを心配する気持ちも、もちろんあったんだよ?

でも可愛い食べちゃいたいって気持ちが無かったとはいえない。


「な、なんとなく…かなぁ…?」


「む…」


リースちゃんが見つめてくる、その目からはジトーって音が聞こえた気がした。


「…私は、琴音が好きだよ。」


「ふえ?!

わ、私もリースちゃんの事が大好きだよ!」


告白きた?!


「そうだよね…

なら、教えて…」


違いました。

私が答えないからどうにかして答えさせようとしていただけでした。


全部正直に言うべきかな?


「夜中のベンチで眠ってて心配だったんだ〜。」


結局私は全てを話せなかった。

仮に全部話したとしても、リースちゃんならなんだかんだ許してくれそうな気配はする。


「そうなんだ…」


「ソウナンダヨー。」


疑惑の視線がすごい…


「私は…

やっぱり、なんでもない…」


落ち込んじゃってる?

どうしてだろ、リースちゃんの様子がどことなく落ち込んでいる様に見える。


「ギュッてして…」


「いいよ、おいで〜。」


「ん…」


ん?んんんん?!?!


てっきり膝の上に座るだけだと思ってたのに、向かい合う感じで座った?!


「ギュー…」


「えっ、ギュー!」


上目遣いが可愛すぎてヤバイ。

例えるならこれからホテルに直行しかねないぐらいヤバイ。


「ありがと…」


リースちゃんが呟くように話し出した。


「琴音と会えて、良かった…

ずっと一緒に、居たい…」


「うん、ずっと一緒に居ようね…」


この返しが正しかったのかはわからない。

私とリースちゃんは少し距離を取るべきだったのかもしれない、このままお互いに依存しあって本当に良いのかもわからない。


私は特に悪いとは思わないけど、周りから見れば異常なのかもしれない。

なんて最近迷う事がある。


「夕方は観覧車に乗ろうか。」


「うん…」


元から、と言っても朝の思いつきだけど考えてたデートプランは予想以上に水族館に滞在した事で崩れちゃったけど、最後の観覧車だけは絶対に乗ろう。


そして、そこで私とリースちゃんの関係を一気に進展させてみせる!


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