世界の魔法使い

第146話 久しぶりの学校

〜エルフ〜


今ではすっかり日常になった、リーナに担がれて階段を降りる寸前。

琴音さんから衝撃の一言が聞こえた。


「え?」


「言ってなかったっけ?

リースちゃん、今日からまた学校に通えるんだよ。」


どうやら今日から学校が再開になるそうです。


聞いてません…

通りで昨日は9時にベットに連れて行かれたのか、確かに生活リズム狂いつつあったもんね。


「え、学校?」


「うん、リースちゃんはお勉強しに行くんだよ。」


あっヤバイ。

一緒に過ごせない事を察したのか、目から光が消えてく。

神様が性格を柔らかくしてくれたらしいんだけど、少し依存気味なのは、そのままだったみたい。


「お姉ちゃん。」


「な、なに…?」


はい、怖いです。


「休んでhーー」


「リーナちゃんも一緒だよ。」


「頑張ろうね!」


休んでほしいって言おうとした所で、一緒に学校に行く事実の判明。

リーナはチョロいな。


「おはようございます。」


制服を着た朱音さん、懐かしいな。


「リーナちゃんも着替えましょうね。」


「それ強制?」


嫌な顔してるな。


制服に着替えるのリーナは嫌なのかな?

この制服、結構可愛いと思うんだけど…


「そうなりますね。」


「じゃあ、行かnーー」


「リーナと、学校、楽しみ…」


「制服ってどうやって着ればいい?教えて!」


やっぱりチョロいな。

リーナは後ろから抱えるように抱かれて、朱音さんに運ばれて行った。


出荷よ〜。


ガシッ


ん?

なんか私も琴音さんに捕まったんだが。


「リースちゃんも着替えようね。」


「1人で、できるよ…?」


前は自分で着替えてたし、当たり前だけど1人でできる。


「そうだね〜。

じゃ、着替えよっか。」


「……」


最近ずっと抱えられてて、白仁家の中だと自分の脚で歩いてない気がする。


「ここ数日は朱音ちゃんにベッタリで寂しかったんだよ〜…

リーナちゃんの事も私に相談してくれたらよかったに。」


琴音さんは、私が朱音さんに妹が帰ってくると相談していたと思っている。

朱音さんの記憶ではそうなんだけど、事実ってわけでもないんだよなぁ。


そんな事があって、少し拗ねてるのだ。


「ん〜、やっぱり使ってるシャンプーとかリンスの匂いじゃないんだよなぁ。」


「ヒェ…」


「不思議だよね。

リースちゃんの香りとは違うけど、リーナちゃんもなんだよ。」


ひぇぇ…


私が戻ってきてから思った事があるんだ。

琴音さん、少し、変態というか…


変わっちゃったなって、もちろん最初に神様を疑ったよ?

でも返ってきた言葉は、


(それは愛じゃな。

そのうち鼻から愛が噴き出すようになる。)


だったからね?


なんだよ愛が鼻から吹き出すって、意味がわからない。


「朝ご飯食べる時間無くなっちゃう、早く着替えよう!」


「……」


そして部屋に連れ込まれた。



〜柳高校 校長〜


「いい加減出てってください、授業の準備でもしたらどうですか?」


「叔父さん、相談に乗ってください…」


めんどくさ。

今私の目の前で机に突っ伏している教師、宮本恵美みやもと えみ。私の姪なのですが色々苦労させてます。


大量の寄付金と引き換えにクラスまで指定で転入生を入れる事になった時も、

校舎半壊で生徒達のプリントを作った時も、


全てこの子に任せたからね。


え?責任者としてどうなんだ?


知らんな!

だって私、この学校で権限持ってないもん。


新しく作り直す時に、


『コレからは指示通りに動いてもらう。

良いな?』


って言われて、


もちろん抵抗しましたよ?

コレでも大切なお子さんを預かってるのでね、ただアレを出されては、抵抗は無理でした。


修理費全額に加えて、新しく設備を整えてくれるなら仕方ない。


「大変なのは仕方ないが、今日から再開なんだから頑張りたまえ。」


「違う、そんな事じゃない。」


ん?おかしいな、弱り具合からてっきり忙しすぎて弱音を吐きにきたのかと思ってたんだが。


「リース・レイエルちゃんは知ってますよね?」


「もちろん、最初の転入生だな。」


そういえば初めて資料を渡した時に運命だって言ってたな。


「全然連絡来ないんですよ…」


「は?」


いつの間に連絡先を…

いや待て!相手は謎の権力で押し潰してくるような相手に庇護されてるんだぞ、危険すぎる!


「不安な事とか、難しかった場所の質問とか、いつでも連絡するようにと通達したのです…」


「……」


思わず白けた目で見てしまった。

リースさんは頭がとても良いですからね、そりゃ連絡なんて来ないでしょうよ。


それと私は知ってるんですからね、貴方がリースさんに怖がられてるって事。

緊張するのはわかりますが、リースさんみたいな大人しい子と2人だけの部屋の中、腕組みながら見つめられたら怖いですよ。


どうにかして機嫌が治らないものか。

今日会えるんだし、少し我慢しろと言いたいけど…

あっ!


「まぁまぁ、これでも見て元気出して。」


「なんですか、これ?

・転入生のお知らせ…?」


リースさんと同じ様に手続きされた、第2の転校生の書類!


「は、は、は…こういう事は早く言え!

リースさんに会えると思ってワクワクしてたのに、忙しくて話する暇ないでしょうがぁぁ!」


「調子戻ったな。」


渡し忘れてた事も誤魔化せる良いタイミングで思い出した。


でも、この2人は何者なのでしょうね。


「私にはこれから、転校していく子達の書類を纏めないといけないのに!」


がんばれ〜。

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