第125話 嫌われちゃったかなぁ…

白仁朱音しらにあかね


「まず前提として命の危険は無い。」


そう話し始めたのは、

偽リースちゃん(私命名)。


「ざっと状況だけ話す。

妹に誘拐されて行方不明、此処にいる私は魔法で作ったコピー。」


妹に誘拐…


あっ、そういえば妹が居るって聞いたことがありましたね。

リースちゃんが魔法使いで守護者って事は、妹さんも魔法使いなんでしょうか?


「えっと、誘拐された理由とか教えてもらっても?」


「少し待って。」


虚空を見つめてボーッとしてる。

偽リースちゃんはコピーって言ってたけど、動きが人っぽいといいますか、誰かが操作してるみたいです。


「…待たせた。

リースの妹が姉と暮らしたい、ぐらいしか理由は思い浮かばない。」


一緒に暮らしたい…

何故それが誘拐になったんでしょう。


「協力してくれる?」


「えぇ、協力はしますが…

私は何をすれば?」


「私がコピーだとバレない様に誤魔化すのを手伝ってほしい。

リースは私達が助けるから。」


私達、か…

やっぱり中に誰か居るんですね、それも複数。


リースちゃん、大きい秘密持ちすぎじゃないかなぁ…

片手で両目を抑え上を向く、今回の秘密はギリギリ処理できてる。


「じゃあ普通に生活してればいい、って事ですね?」


「そうなる。」


「わかりました。

リースちゃんをよろしくお願いします。」


「もちろん。

まぁ半分いや殆ど私達のせいだから…」ボソ


今の聞こえてるんだよなぁ。

住宅街とはいえ基本的に学校がある平日で子供が遊ぶ声も、リビングじゃ無いしテレビもない、静かな部屋で呟いたら聞こえちゃうよね。


私達のせい、ん〜…


「貴方達の正体は教えてもらえないんですか?」


「え、あ〜…」


またボーッとなった。

偶にリースちゃんも、その状態になってたけど遠隔で誰かと話してたのかもしれない。


「そうだなぁ、幽霊じゃな…」


「じゃな?」


老人…?


「そう、此処に居るが此処には居ない。

私達を言葉にするなら幽霊が1番ピッタリ。」


「そうなんですね。」


偽リースちゃんが鍵を開けました。


今日は此処までなのでしょう。

というか、正直信用できないんですけど…


リースちゃん誘拐は真実でしょう、

助けるのも本当なんでしょう、

でも怪しいんだよなぁ…


「私も探すか…」


偽リースちゃんが1階に降り、

部屋に1人になった私は覚悟を決めました。


見つけられるかは分かりませんが、少しでも可能性があるのなら動かなければ!



白仁琴音しらにことね


最近、悲しい事が起こったんです。

それが原因で私は一睡もできませんでした…


その悲しい出来事とは、


リースちゃんが私と寝てくれない!


キッカケはわかりません、嫌われてるかも分かりません、何故避けられるのかもわかりません。


どれだけ考えてもわからず、でも本人に直接聞くのは少し怖い。


という訳で人に相談します。


「って訳なんだよ。」


本当は実際に会って相談したかったんだけど、友美さんに今日は外出を控えて欲しいと言われてしまったので電話しています。


『えっと〜。

つまり琴音は、嫉妬してるわけだ。』


「いやいや、嫉妬じゃないんだよ?

ただ嫌われちゃったのかなって…」


電話の相手は中学の時からの親友。

何故か友達ができなかった私に唯一話しかけてくれた親友。


『多分だけど嫌われてはないんじゃないかな?』


「どうして…?」


『んーと、リースちゃんについて琴音から聞いただけだし間違ってるかもしれないけど、

朱音ちゃんに何かを相談したんだと思うんだよね。』


「相談?」


『うん。

いろんな理由が重なって琴音には相談できなかったんだと思うよ。

まぁ、その相談でリースちゃんと朱音ちゃんの仲が良くなった可能性はあるけどね。』


親友は色々と鋭くて相談すると的確なアドバイスをくれる、だけど今回は聞いてもよくわからない。


「嫌われてはないんだよね?」


『うん。

それか、琴音に対して何かサプライズしようとしてるとか?』


「サプライズ?」


『例えば、

誕生日のプレゼントとかね。』


誕生日プレゼント!

それは…期待しちゃって、いいのか?


いや待った、私の誕生日2ヶ月後じゃん。

まだ準備には早すぎる。


「まだ先じゃん…」


『いや、例えばだよ。

例えばの話よ?』


そういえば、まだ今度聞こうって思ってたリースちゃんの誕生日聞き忘れてる…


『もしもーし、どうしたー?』


「あ、ごめん…」


『大丈夫、それより気持ちの方は落ち着いた?』


「少しね…

1人で抱えてた時よりマシになったよ。」


私どうしちゃったのかな。


『そんなに不安そうな声出さなくても大丈夫だよ。

だって指輪貰ったんでしょ?』


「た、確かに貰ったよ?!

でもお守りとしてだよ?」


リースちゃんに貰った指輪は今日もちゃんと付けてる。


最初は左手薬指に付けてたんだけど、近所の人に結婚おめでとうって言われ、

左手薬指に指輪は結婚指輪だった事を思い出し人差し指に変えた。


『もー、何言ってんのよ琴音。

考えてみなさい、お母さんと朱音ちゃんはそれぞれイヤーカフと本の栞だったんでしょ?

指輪なんてお守り以外にも特別な意味があるに決まってるじゃない。』


「特別…」


『そうだよ。

そもそもの好感度が高いんだから

少し嫌な事されても時間が解決してくれるか、相手から言ってくれると思うよ。

少し待ってみよ?』


「うん、そうする。

今日は相談に乗ってくれてありがとうね。」


『別に良いよー。』


少し時間置くのか、暫くは寝不足だろうな。


『報酬は、琴音が夢中になる程の美少女リースちゃんの写真で!』


「え!」


『ばいばーい。』


切れた!


急に通話を切られ、少し寂しい気持ちになるが、いつも通り普通に接してくれる親友に感謝する。

そして送る写真を厳選するのだった。


リースちゃんの写真、どうせなら可愛いのが良いよね。


写真のフォルダ内にはリースの写真が大量にある。

コスプレしてる写真から、美味しそうにご飯を食べている写真、寝顔を写した写真、

などなど


悩みながらも写真を厳選した結局、厳選から送るまで1時間かかったのだった。









ー作者からのお知らせー

過去の話を少し読みやすく編集しています。

話の流れは変わりません。


それと今回、最近で1番悩み、妥協しました。

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